こんにちは京都医塾数学科です。
このページでは「金沢医科大学医学部の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“金沢医科大学医学部”の受験を考えている方
・“金沢医科大学医学部の数学がどのような問題か知りたい”
という方におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。
目次
概要
【形式・制限時間・配点】2024年度(最新の問題より)
形式: 全4問、全てマーク式
制限時間:60分
配点:100点(一次試験の総得点は350点)
出題の傾向と特徴
【恒例の出題単元】
まず目を引くのが、第1問で出題される「場合の数」や「確率」の問題です。例年、サイコロを使った問題が多く見られるのが特徴です。数え上げの技術を使って処理しますが、制限時間を考慮し、効率よく数え上げることが求められます。
また、「微分・積分」の問題も毎年のように出題されています。主に数学ⅢCの範囲からの出題が多いですが、数学Ⅱの範囲からも出題されることがあります。接線の方程式を求めたり、囲まれた図形の面積や回転体の体積を求めるといった典型的な問題が中心です。私立医学部としては難問ではありませんが、制限時間が厳しいため、立式から計算までを素早く正確に行う練習が必要です。
【頻出の出題単元】
4つの大問で、各分野からバランスよく出題されています。
【恒例の出題単元】でも書いた通り、数学Aから確率(数学Ⅰや数学Ⅱの図形や関数分野との融合で出題されている事が多いです)、(主に)数学Ⅲから微積分の2問が固定されており、残りは数学B、数学Ⅱ(もしくはⅢC)から出題されています。
いずれの単元も、教科書レベルの基本知識を丁寧に身に付けることが重要です。
焦って難しい問題集に手を出す必要はありせん。
【制限時間に対する問題量】
60分で大問が4つですから、マーク記入や見直しを除けば、1問当たりにかけられる時間は10分強です。近年の私立医学部の入試問題は計算量が増加傾向にありますが、その中でも時間が厳しい試験と言えます。
場合の数の数え上げや各種計算に集中しすぎて、「気づけば1問に20分以上かけてしまった」ということがないよう、時間配分には十分注意しましょう。また、普段の学習から時間を意識して解答する訓練をしておくことが重要です。
2024年度(最新の過去問)の分析
【第1問:確率】(標準)
第1問はサイコロを3つ投げて出た目を用いて座標平面上に三角形 OPQ を構成し、その面積や形状に関する確率を求める問題です。具体的には、サイコロの目 \(a\)、\(b\)、\(c\) によって三角形 OPQ の頂点が定まり、そこから他の条件を満たすものを探していきます。
- 三角形の面積が最大または最小になる条件を考えます。三角形の面積が最大になるのは底辺と高さが最大のときで、\(a=6\)、\(b=6\)、\(c=3\) の場合であり、このときの面積は18です。一方、面積が最小になるのは逆に \(a=1\)、\(b=1\)、\(c=5\) のときで、面積は \(\frac{1}{4}\) になります。なお、\(c=6\) の場合は三角形が成立しないため、注意が必要です。
- 次に、三角形が正三角形になる確率を求めます。3辺の長さがすべて等しく、角もすべて等しいことから、サイコロの目が \(a=b\) かつ \(c=2\) となる場合のみです。
- 直角三角形になる場合も条件ごとに分ける必要があります。特に∠\(POQ\)=\(\frac{\pi}{2}\) や ∠\(OPQ\)=\(\frac{\pi}{2}\) という場合はイメージしやすいですが、もう1つの角が直角のパターンの ∠\(OPQ\)=\(\frac{\pi}{2}\) についても考える必要があります。まずは、 \(c\) から考えていきましょう。
- 三角形の面積が整数となるためには、\(\sin \frac{c\pi}{6}\) が正の有理数となる必要があるため、\(c\) は \(1, 3, 5\) のいずれかになります。ここから場合分けを行い、それぞれについて計算していきます。
- 余弦定理を用いて条件を絞ることができますが、\(c\) で場合分けし、数え上げていくでも問題ありません。その際、三角形 OPQ が存在することから \(c = 6\) が不適であることと、PQ ≧ 9 という条件から \(c\) を大きい順に(つまり 5 から)数え上げると時間短縮になります。
この問題では、正確な数え上げと図形的な条件の整理がポイントです。また、時間配分を意識して解くことが求められます。
≪2024年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答を目指しましょう。他の大問との時間のバランスを見ながら、(4)(5)をいったん飛ばすのも一つの手です。
他教科を得点源にしたい受験生…(2)までをしっかり取りたいところです。
【第2問:図形と方程式】(やや易)
まず、直線の傾きと正接の関係を利用し、正接の加法定理を用いて 2 直線のなす角を求めます。
次に、点 B が直線 \(x+2y-4=0\) 上にあることを利用して、点 B の座標を (\(4-2b\), \(b\)) とし、点 A(0,2) との距離を 2 点間の距離の公式を使って求めていきます。このとき、図から片方の解が不適となる点に注意が必要です。
次の \(k\) も図形的に考えます。四角形 ABCD が三角形 ABE と四角形 BCDE を合わせたもので、四角形 BCDE が平行四辺形であることに気付けば \(k\) についての方程式を立てることができます。辺 BE をそれぞれの図形の底辺と考えましょう。 \(k\) が求められれば、後は交点の座標を求めるだけです。この計算ができていれば、三角形 BCD の面積が平行四辺形 BCDE の半分であることを利用することで、次の面積比の問題も求めることができます。
最後の問題も、2 直線のなす角の話です。それぞれの直線において、通る 2 点がここまでで分かっているので、直線 AC と直線 BD の傾きを求め、正接の加法定理を用いて計算しましょう。
≪2024年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答を目指しましょう。
他教科を得点源にしたい受験生… C、D の座標までは何とか求めたいですね。
【第3問:空間ベクトル】(やや易)
立方体の内部にある点をベクトルで表現し、比や体積を求める典型問題です。
まず、具体的な位置が分かっている K を基準となるベクトルで表してしまいましょう。\(\vec{OK} = \vec{OA} + \vec{OB} + \frac{3}{2}\vec{OC}\) ですね。
点 S は直線 OK と平面 CEGF の交点ですので、\(\vec{OS}\)を 2 通り表して、係数を比較しましょう。直線 OK 上にあることから \(\vec{OS} = k\vec{OK} = k\vec{OA} + k\vec{OB} + \frac{3}{2}k\vec{OC}\) と表せ、また平面 CEGF 上にもあることから \(\vec{OS} = s\vec{OA} + t\vec{OB} +\vec{OC}\) と表せます。各ベクトルごとに係数を比べます。\(\vec{OC}\) に注目すればすぐに求められますね。
同様に点 T も直線 OK と平面 ABC の交点ですので、\(\vec{OT}\) を 2 通り表すことができ、係数を比べることで求めることができます。
今の計算で、 OS や OT が OK の何倍かが分かるので、連比の計算をすれば、OT : TS : SK も求めることができますね。
残りの SH の長さと三角錐 S-ABC については、先に三角錐 S-ABC の体積から求めるのがお勧めです。三角錐 S-ABC と三角錐 O-ABC が底面 ABC が共通な三角形なので高さの比がそのまま体積比になります。ここで、高さの比が OT : TS と等しいことに気付ければ先ほどの連比を利用して、三角錐 O-ABC の体積から三角錐 S-ABC の体積を求めることができます。
体積が分かれば、底面 ABC は 1 辺の長さが \(2\sqrt{2}\) の正三角形ですから高さ SH を求めることは容易ですね。
≪2024年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答を目指しましょう。
他教科を得点源にしたい受験生…最後の体積や高さ以外の項目を完答したいです。
【第4問:微積分(数Ⅲ)】(やや易)
2つの曲線が点 D で交わることを利用し、まず点 D の座標を各曲線に代入して未知の文字を解消します。次に、接線が直交する条件を利用して残りの文字も確定し、曲線の式を具体化します。
F は放物線の焦点です。平行移動が絡んできますが、焦点を求める式変形は二次曲線の基本ですのでこちらも丁寧に求めて下さい。三角形 ODF の面積は、座標平面上で 3 頂点の座標が分かっている三角形の面積ですので、ベクトルの成分を使った面積公式を利用すると素早く求めることができます。
②の接線はここまでの計算ができていれば求めることができているはずです。図を描いて積分区間と上下を確認したら、定積分をすることで面積を求めることができます。また、回転体の体積もここまで図示できていれば立式・計算ともに難しくはありません。
≪2024年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答を目指しましょう。
他教科を得点源にしたい受験生…できれば完答したいです。せめて①③で囲まれた図形の面積までは取りたいですね。
総評
2024年度の金沢医科大学数学入試は、例年通り確率、図形、微積分など、主要分野からバランスよく出題されています。極端に難しい問題は出題されていないものの、時間制限が厳しいため、計算速度と問題に応じた解法の選択が合否のポイントとなります。普段の学習から時間を意識した訓練が大切です。