2025年度より、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、学習指導要領の変更に伴い、教科の新設や科目再編、配点・試験時間など、さまざまな変更が予定されています。
そこで今回の記事では、2025年度の共通テストの基本情報を整理したうえで、2024年度からの変更点をまとめてお伝えします。
2025年度の共通テストについて、情報を整理したい方におすすめの内容となっておりますので、ぜひご一読ください。
目次
2025年度・大学入学共通テストの基本情報
まずは、2025年度・共通テストの基本情報をお伝えします。
実施日
2025年度の共通テストは以下の日程で実施されます。
本試験 | 令和7年1月18日(土) | 令和7年1月19日(日) |
追試験 | 本試験実施の2週間後の土・日 |
追試験の日程は2024年2月現在、まだ発表されていませんが、過年度の実績から本試験実施の2週間後の土曜日・日曜日に実施される傾向があります。
ただし、リスニングの機器不良や問題冊子の不備など、本試験中のトラブルや自然災害で正常に試験が受けられなかった場合は、追試験ではなく「再試験」の日程が別途設定されます。
出題教科・科目・配点
2025年度・共通テストの出題教科・科目・配点は以下の通りです。
教科 | グループ | 出題科目 | 出題方法 (出題範囲,出題科目選択の方法等) | 試験時間(配点) |
国語 | 『国語』 | ・「現代の国語」及び「言語文化」を出題範囲とし,近代以降の文章 及び古典(古文,漢文)を出題する。 | 90分(200点) | |
地理歴史 | 『地理総合,地理探究』 『歴史総合,日本史探究』 『歴史総合,世界史探究』 『公共,倫理』 『公共,政治・経済』→(b) 『地理総合/歴史総合/公共』→(a) | ・左記出題科目の6科目のうちから最大2科目を選択し,解答する。 ・(a)の『地理総合/歴史総合/公共』は,「地理総合」,「歴史総合」及び「公共」の3つを出題範囲とし,そのうち2つを選択解答する(配点は各50点)。 ・2科目を選択する場合,以下の組合せを選択することはできない。 (b)のうちから2科目を選択する場合 『公共,倫理』と『公共,政治・経済』の組合せを選択することはできない。 (b)のうちから1科目及び(a)を選択する場合(b)については,(a)で選択解答するものと同一名称を含む科目を選択することはできない。(注2) ・受験する科目数は出願時に申し出ること。 | 1科目選択 60分(100点) 2科目選択 130分(うち解答時間120分)(200点) | |
公民 | ||||
数学 | ① | 『数学Ⅰ,数学A』 『数学Ⅰ』 | ・左記出題科目の2科目のうちから1科目を選択し,解答する。 ・「数学A」については,図形の性質,場合の数と確率の2項目に対応した出題とし,全てを解答する。 | 70分(100点) |
② | 『数学Ⅱ,数学B,数学C』 | ・「数学B」及び「数学C」については,数列(数学B),統計的な推測(数学B),ベクトル(数学C)及び平面上の曲線と複素数平面(数学C)の4項目に対応した出題とし,4項目のうち3項目の内容の問題を選択解答する。 | 70分(100点) | |
理科 | 『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』 『物理』 『化学』 『生物』 『地学』 | ・左記出題科目の5科目のうちから最大2科目を選択し,解答する。 ・『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』は,「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」の4つを出題範囲とし,そのうち2つを選択解答する(配点は各50 点)。 ・受験する科目数は出願時に申し出ること。 | 1科目選択60分(100点) 2科目選択130分(うち解答時間120分)(200点) | |
外国語 | 『英語』 『ドイツ語』 『フランス語』 『中国語』 『韓国語』 | ・左記出題科目の5科目のうちから1科目を選択し,解答する。 ・『英語』は「英語コミュニケーションⅠ」,「英語コミュニケーションⅡ」及び「論理・表現Ⅰ」を出題範囲とし,【リーディング】及び【リスニング】を出題する。受験者は,原則としてその両方を受験する。その他の科目については,『英語』に準じる出題範囲とし,【筆記】を出題する。 ・科目選択に当たり,『ドイツ語』,『フランス語』,『中国語』及び『韓国語』の問題冊子の配付を希望する場合は,出願時に申し出ること。 | 『英語』 【リーディング】 80分(100点) 【リスニング】 60分 (うち解答時間30分) (100点) 『ドイツ語』『フラン ス語』『中国語』『韓 国語』【筆記】 80分(200点) | |
情報 | 『情報Ⅰ』 | 60分(100点) |
※本表は、独立行政法人大学入試センター発表の以下の表より引用作成しております。
これまでとどう違う? 2025年度からの共通テスト変更点総まとめ
前項では、2025年度の共通テストの実施概要を解説しました。
以下では、2024年度までに実施された共通テストからの変更点を解説します。
①出題科目・教科数・出題内容の変更
現行の共通テストの科目数が6教科30科目に対し、2025年度からは7教科21科目へと再編されます。
以下では、出題科目・教科数・出題内容など、2025年度から大きく変更となる4点を解説します。
情報Ⅰの新設
学習指導要領の改訂にともない、2025年度の共通テストから、新科目『情報Ⅰ』が新設されます。
2024年度の共通テストの”6教科”が、2025年度より”7教科”となるのは、この情報Ⅰの新設が理由です。
情報Ⅰでは、情報社会の問題解決・コミュニケーションと情報デザイン・コンピュータとプログラミング・情報通信ネットワークとデータの活用という4つの単元を範囲として出題されます。
独立行政法人大学入試センターによって2021年3月24日に公表された試作問題によると、出題概要は以下のようになります。
問題数 | 大問3・小問11・解答数48 | |
試験時間 | 60分 | |
出題範囲 | 第1問 | 情報社会の問題解決コミュニケーションと情報デザイン情報通信ネットワークとデータの活用 |
第2問 | コンピュータとプログラミング | |
第3問 | 情報通信ネットワークとデータの活用 |
(令和7年度試作問題『情報Ⅰ』より作成)
試験時間60分に対して、解答数(マーク数)が48と多く、平均すると1マークあたり1分と少しの回答時間となり、スピードが求められる試験となっていることがわかります。
また、国立大学では『情報Ⅰ』の扱いについて、公表している95%以上の大学で受験必須(6教科8科目受験必須)としており、受験戦略においても大きな影響があると考えられます。
数学の科目変更
数学では、科目の再編が行われます。
これまでの数学②の範囲だった「数学Ⅱ」、「数学Ⅱ・数学B」、「簿記・会計」、「情報関係基礎」の4科目は再編され、「数学Ⅱ、数学B、数学C」の1科目へと変更となります。
科目改変にともない、上記の範囲のうち、数列・統計的な推測・ベクトル・平面上の曲線と複素数平面の4つの項目から、3つを選択して解答する試験形式に変更となります。
すなわち、選択解答数がこれまでの2から3へと増加する形となります。
国語の出題内容変更
国語では、出題内容の変更が発表されています。
「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト出題教科・科目の出題方法等」によると、国語の出題範囲は『「現代の国語」及び「言語文化」を出題範囲とし,近代以降の文章及び古典(古文,漢文)を出題する。』とあります。
この出題範囲と、試作問題から、これまでの、現代文(近代以降の文章)の大問数が2から3に増加し、配点が110点へと変更となることが判明しています。
また、古文・漢文はそれぞれ大問数1・配点45点へと変更となります。
地理歴史・公民の科目変更
地理歴史・公民は、学習指導要領の改訂にともない、科目が変更となります。
以下に、旧課程と新課程で科目がどのように変更となったのかをまとめています。
旧課程 | 新課程 | |
地理歴史 | 世界史A 世界史B 日本史A 日本史B 地理A 地理B | 地理総合、地理探求 歴史総合、日本史探求 歴史総合、世界史探求 |
公民 | 現代社会 倫理 政治経済 倫理、政治経済 | 公共、倫理 公共、政治・経済 |
地理歴史・公民 | ― | 地理総合、歴史総合、公共 |
「地理総合」と「歴史総合」は、地理歴史における基本科目として扱われ、高校1年次の実質的な必修科目として設定されています。
それに対して、「地理探求」や「世界史探求」「日本史探求」は、より専門的・発展的な内容を扱う科目、という位置づけです。
「歴史総合」では、旧課程における「世界史A」「日本史A」の両方の内容を含みます。
そのため、2024年度までの共通テストと比較すると、実質的に歴史の出題範囲が広がっている、ということがお分かりいただけるかと思います。
これまでのように、日本史のみ・世界史のみの出題ではなく、日本史選択であっても「歴史総合」の範囲として世界史の基礎的な内容が出題される、という形になります。
公民分野でも同様に、「公共」が実質的な必修科目となり、発展的な内容として「倫理」「政治・経済」が位置づけられる形で科目が再編されています。
共通テストでは、社会は6科目から最大2科目を選択可能です。
ただし、以下のように選択の組み合わせに規定があるため、注意が必要です。
イ 「地理総合、歴史総合、公共」を選択する場合については、出題範囲(「地理総合」、「歴史総合」、「公共」)のうち、いずれか2科目(「地理総合」および「歴史総合」、「地理総合」および「公共」、「歴史総合」および「公共」)の内容の問題を選択解答。
ウ 2出題科目を選択する場合においては、以下の組合せ以外の出題科目の組合せを選択。(以下参考)
・「公共、倫理」と「公共、政治・経済」の組合せを選択することはできない。
・「地理総合、歴史総合、公共」を選択した者は、選択解答した問題の出題範囲の科目と同一名称を含む科目の組合せを選択する
【引用】令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト出題教科・科目の出題方法等(独立行政法人大学入試センター)
②試験時間の変更
前項で解説しました、出題内容変更・科目再編にともない、数学②と国語において試験時間が変更となります。
数学②では、「数学Ⅱ、数学B、数学C」と範囲が広がることに加えて、選択解答が2から3へと増加するため、これまでより試験時間が10分増加となります。
これにより、数学①・数学②ともに70分の試験となります。
国語では、現代文の大問数が2から3へと増加するため、これまでより試験時間が10分増加となります。
また、『文部科学省 「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告(補遺)」について(通知)』によると、“これまでよりも多彩な文章を提示する”ため、試験時間を90分とする旨が述べられています。
試験時間の変更は、解答数だけでなく、難度の上昇も予見されることから、数学②・国語それぞれの分析と対策がより重要となります。
2025年度私立入試への影響も要チェック
新課程への移行に合わせ、共通テスト利用受験方式を新たに設置したり、受験要件(受験科目など)を変更したりする私立大学も増加しています。
2025年度の私立入試詳細は今後の発表となりますが、国公立大学志望者以外も共通テスト対策が求められることがある、という点を留意しておきましょう。
第一志望校だけでなく、受験する可能性のある志望校の入試要項は更新をこまめに確認することをおすすめします。
2025年、共通テストはなぜ変わる?
ここまでご覧いただき、「なぜ2025年度に共通テストの出題内容などが変更になるのだろう」と、そもそもの部分を疑問に思われた方も多いかと思います。
以下では、なぜ共通テストが変わるのか、また、なぜ2025年度からなのか、という理由について解説します。
2025年度入試より、新学習指導要領に沿った出題になるため
2025年度入試より、共通テストの出題科目・出題内容が変更されるのは、新学習指導要領で学んだ学生が受験学年となるためです。
学習指導要領とは、文部科学省によって規定される教育課程における基準を指します。
小学校から高等学校まで、学校教育における指導は、基本的にこの学習指導要領に則って行われています。
この学習指導要領は、約10年の周期で定期的に見直し・改訂を行っています。
そのため、2025年度の共通テストから学習指導要領が変更となる理由はこの周期に当たっているから、という非常にシンプルな理由となります。
では、なぜ学習指導要領は定期的な見直しが行われるのでしょうか。
見直しを行う主な理由としては、「社会情勢の変化に合わせた教育の遂行」にあります。
10年前と今とでは、学生を取り巻く環境が大きく異なります。
例えば、2014年頃を振り返ると、SNSは今ほど発展していませんし、学校のIT設備もまだまだ充足しているとは言えませんでした。
スマートフォンを使用したアプリ学習は一般的ではありませんでしたし、ジェンダーや障がいに関する議論も不十分でした。
子どもたちが将来、社会生活を営むのに十分な力をつけるにあたって、教育は大きな影響力をもちます。
社会情勢を反映せず、長期間にわたって学習指導要領を使い続けることこそ、むしろ甚大な危険を孕んでいる、という状況があります。
2025年度入試のみ、浪人生に対する経過措置あり
ここまでの内容から「2024年度の浪人生は2025年度入試で不利になってしまうのでは」とお思いになった方もいるかと思います。
確かに、これだけ大きな改変が実施されると、履修内容が異なる過年度生は、大きな不利益を被るように思えます。
結論から申し上げますと、2025年度実施の共通テストのみ、「経過措置科目」の設置があります。
「経過措置」とは、端的に言うと、2024年度の共通テストと同じ出題内容で2025年度の共通テストを受験できる、という措置です。
もちろん、新課程の学習内容を履修したうえで、新課程科目を選択することも可能ですし、科目によって旧課程・新課程を選択して受験することも可能です。
ただし、旧学習指導要領の内容で受験できるのは2025年度の経過措置科目が最初で最後となります。
そのため、旧課程の内容で受験をするのであれば、2025年度の共通テストには不退転の覚悟で臨む必要があります。
新指導要領入試対策も万全!医学部合格を目指すなら京都医塾
ここまで、2025年度の共通テストについて、過年度との比較を交えながら解説しました。
新課程入試となることで、共通テストだけでなく、国公立大学個別試験や私立大学入試でもさまざまな変更が予想されます。
いち早く、新指導要領に即した入試情報を得たうえで受験勉強でも対策を行っていく必要があります。
特に、難関国公立大学や医学部を受験する場合、確実に得点できるポイントの見極めを迅速に行う必要があります。
一方で、「新課程入試の情報収集がまだできていない」、「旧課程・新課程どちらで2025年度の共通テストを受験するか迷っている…」など、新課程入試におけるさまざまなお悩みを耳にします。
そこでご紹介したいのが、京都の医学部専門予備校、「京都医塾」です。
京都医塾は、過去の指導要領改訂にともなう新課程入試にも対応実績があり、医学部合格者を多数輩出してきた実績のある予備校です。
以下では、京都医塾についてご紹介します。
新指導要領を踏まえたカリキュラム設計&医学部受験のプロ講師による解説
京都医塾では、受験年度に合わせ、毎年度カリキュラムと指導内容の見直しを行っております。
そのため、2025年度の共通テスト受験対象となる学年では、新指導要領に沿った授業を行っています。
ただ指導要領に沿うのではなく、改変されたことでどの部分が重要になるのか、どういった対策が求められるのか、まで分析し、独自のカリキュラムを設計しています。
そのうえで、医学部受験のプロ講師が、各大学医学部の対策授業・解説を行っています。
また、2025年度の共通テストにおいて、経過措置を利用して受験する場合も、個別に対応可能です。
目標・学習状況に合わせて、授業形態を選択可能
京都医塾では、生徒一人ひとりの目標・学習状況に合わせて、授業形態を選択することが可能です。
まず、志望校合格に求められる学力と現在の学力とを比較分析し、1年間の個別学習計画を立案します。
そのうえで、学習状況に合わせ、『完全1対1個人授業』か『レベル別少人数クラス』を選択し、受講できるシステムとなっています。
『完全1対1個人授業』は、1名の先生に対して生徒1名の完全マンツーマン授業です。
完全個別指導のため、”根本からまったくわからない”状態であっても、基礎からとことん指導を受けることが可能です。
苦手な科目や単元を徹底的に学習したい場合におすすめの授業形態です。
『レベル別少人数クラス』は、教科ごとに同じくらいの学力の塾生で少人数のクラスを形成します。
少人数構成なので、疑問に感じたことや理解ができなかった部分についてその場で再度解説を受けることも可能です。
仲間がいることで、観察学習の効果が得られること、お互い切磋琢磨して学力を伸ばす環境に身を置けることが魅力です。
復習用ブラッシュアップシートで効率的な復習が可能
京都医塾では、復習時間の充実も重要視しています。
『完全1対1個人授業』の授業終了時に、その日の授業で扱った重要事項をまとめた、”ブラッシュアップシート”を配布しています。
このブラッシュアップシートには、授業内の様子から復習が必要だと思われる内容をまとめています。
次の授業までに何をやればいいのか、復習内容まで明確に示しています。
このブラッシュアップシートを活用し、ポイントに絞った復習を行うことで、圧倒的な効率で学力アップを図ることが可能です。
まとめ
2025年、大学入試は大きな変化を迎えます。
しかし、求められる学力や、それに必要な対策は、あらかじめ明確化されています。
新課程入試だからといって恐れすぎることなく、目標に向かって一歩ずつ努力し、合格をつかみ取りましょう。
また、本記事をご覧になって「もっと京都医塾について知りたい」と思ってくださった方に、京都医塾の『一泊二日医学部合格診断』のご紹介です。
京都医塾は、京都以外からのご通塾を希望される方が非常に多い予備校です。
そのため、寮をはじめ、必要な設備を完備したうえで、遠方からのご通塾希望にお応えしております。
ご説明会につきましても、遠方からの参加をご希望の方に、なるべくご負担が少ないよう2日間に集中する形で行っております。
それが、京都医塾の『一泊二日医学部合格診断』です。
『一泊二日医学部合格診断』では、入塾説明はもちろん、体験授業や学力診断テスト、テストを分析した結果の報告会を行います。
入塾のご検討は、授業の質や雰囲気を実際にご確認いただいたうえで、じっくり考えていただければと思います。
なお、必要な宿泊費・交通費は京都医塾にて負担いたします。
京都医塾に少しでも興味をもってくださった方、または、医学部専門予備校の指導メソッドを知りたいと思われた方、歓迎いたします。ぜひ、ご参加ください。