「将来臨床医として即戦力になりたいけれど、臨床スキルが早くから磨ける臨床に強い大学ってどこだろう?」と考えている受験生もいるのではないでしょうか。
しかし、「臨床に強い医学部」の定義は曖昧であり、どういう観点で探したらよいのか難しいのも事実です。
この記事では、臨床力を重視する大学の医学部として考えられる特徴や、将来を見据えた医学部選びのポイントについて解説します。
目次
「臨床に強い医学部」とは?

「臨床に強い医学部」という評価は主観的な要素を含むため、何をもってして「臨床に強い」とするかは一概にいえません。
また、各大学の教育方針や特色は異なるため、単純な比較も難しいでしょう。
そこで、そのなかでも臨床力を高めるための取り組みや特徴を持つ大学について紹介します。
臨床実習の期間が長い医学部
医学部では、通常5~6年次に授業の一環として「臨床実習」が行われます。
臨床実習はグループに分かれて病院内の各科を回り、直接患者さんに接することができる医学部生にとって実践的な学習機会です。
2017年において3,000時間近い臨床実習を行っている医学部が14大学もある一方で、1,500時間未満しか実施していない医学部もあり臨床実習の期間は大学ごとにまちまちです。
多くの大学において臨床実習の期間は72週程度ですが、近年臨床実習は充実する傾向にあり、より長い期間を設定している医学部も増えています。
臨床実習の期間が長ければ、より多くの症例に触れ実践的な医療経験を積む機会が増えるため臨床スキルが向上しやすい「臨床に強い医学部」といえるでしょう。
例えば、筑波大学のCC(クリニカルクラークシップ)は4年次の10月~6年次の6月の合計78週実施され、国内でもトップクラスの長さです。
さらに、国際医療福祉大学では世界水準を上回る90週の臨床実習を行い、臨床に強い医者の育成をめざしています。
参加型臨床実習を重視する医学部
現在医学部で実施される臨床実習は、見学型から「クリニカルクラークシップ(CC)」と呼ばれる学生が主体となり患者さんとの関わりの中から臨床を学ぶ参加型の実習方式に変わっています。
クリニカルクラークシップでは、指導医の下で診療チームの一員として実際に診察・検査・治療に参加し実践的な臨床能力を身につけます。
したがって、参加型臨床実習を重視する医学部では、より実践的で臨床現場に即した将来の医師人材の育成が可能となるため「臨床に強い」と考えられるでしょう。
一例として、以下の医学部ではクリニカルクラークシップを重視したカリキュラムを導入しています。
東海大学医学部:先駆的な試みとして1997年から診療参加型のクリニカルクラークシップを導入しており、4年次後期から6年次まで多くの診療科をローテーションする早期から充実した臨床実習を提供 大阪医科薬科大学:4週間1つの科で同じ患者さんを受け持つ「重点コース」や春休み・夏休み期間を利用して希望者が海外に留学し、現地の大学などで実習を行う「国際交流」クラークシップを導入 信州大学県内外約30の病院で、6ヶ月150通りから選択可能な参加型臨床実習プロジェクトを提供 |
症例ベースの学習を取り入れている医学部
クリニカルクラークシップでの実践的な臨床スキルの向上とともに重要なのは、症例を用いた学習による問題解決力の育成です。
したがって、症例ベースの学習に力を入れている医学部も「臨床に強い」といえるでしょう。
秋田大学では症例ベースのシミュレーション教育を1年次から導入しており、実際の臨床実習ではタイミングにより経験できない症例も含めて実践に近い形で幅広く経験を積むことができます。
また、日本医科大学では、問題基盤型学習(PBL)という症例ベースの学習方法を採用しています。
「シナリオ」という人型シミュレーターから提示される臨床課題は画像データや検査データが共有され、時間経過に伴い病状が悪化するというデジタルならではのリアリティのある学習が可能です。
文部科学省の臨床教育事業に採択された医学部
文部科学省では、「質の高い臨床教育・研究の確保事業」などの臨床教育事業を行っています。
臨床教育事業に力を入れていることをアピールし、採択されている大学は「臨床教育に強い」医学部とも考えられるでしょう。
一例として、2022年に選定された大学のなかから2つ紹介します。
神戸大学:VR・メタバース空間を活用した臨床実習前シミュレーションの充実やAIを活用した患者問診教育やチュートリアルFAQシステムなどのICTを積極的に活用 名古屋大学:ICTを用いた実習記録による経験の可視化とライフイベントで離職を考える看護師をシミュレーションスペシャリストとして育成、指導にあたることで学生のシミュレーション教育を充実 |
臨床力を強めたいなら医学部より研修先選びが重要
ここまで4つの観点から「臨床に強い医学部」について解説してきましたが、臨床スキルを向上させるために重要なのは医学部選びより卒業後の研修先選びです。
日本の場合、本格的な臨床医としてのトレーニングは医学部卒業後の国家試験に晴れて合格したあとの病院での初期臨床研修から始まります。
そのため、ベースとなる知識や経験を学ぶための医学部選びももちろん重要ですが、臨床スキルの高い優れた臨床医を目指すなら大学の臨床教育よりも初期臨床研修先を重要視して検討した方が有用です。
臨床に強い研修先につながる医学部の選び方

「大学よりも臨床研修先選びのほうが重要」とはいえ、初期臨床研修は卒業と国家試験合格を果たしたあとのはるか先の話です。
しかし、医学部の選択次第ではその後の研修先やキャリアに少なからぬ影響を与えるでしょう。
次に、「臨床に強い研修先選び」を見据えた医学部選びのポイントについて解説します。
臨床機会が多い大学附属病院を持つ医学部
「臨床に強い研修先」として考えられるのが、規模の大きい病院です。
大規模で設備の整った病院での研修は、多様な症例の経験と最新の医療設備を用いた実践的な臨床スキルの学習が可能です。
また、高度な設備は臨床研究にも活用でき、臨床と研究の両面から医学を学べます。
そのため、臨床に強い研修先での選考を多少有利にするために、大規模な附属病院を持つ医学部を選択するのも一つの方法です。
一例として東京女子医科大学の附属病院は1,139床の病床数を持ち、初期臨床研修ではスケールメリットを活かしたさまざまな症例の経験を積めるだけでなく1ヶ月の地域医療研修も経験できます。
また1,086床の病床数を持つ大阪大学の附属病院では、充実した関連病院と高度な医療設備や研究機関を活用し医学部から附属病院での研修、さらには一流の専門医や研究医の育成までをシームレスに行っています。
臨床研修先の自由度が高い大学附属病院を持つ医学部
「医学部在学中から臨床スキルを向上させたい」と考える受験生のなかには、すでに希望する診療科や分野が決まっている人もいるでしょう。
そのため、初期臨床研修で自分の希望する内容を学びやすい、選択の自由度が高い附属病院を持つ医学部を選択するのも一つの方法です。
名古屋大学の附属病院では、大学病院と協力型臨床研修病院での研修を組み合わせた小児科重点コース、産婦人科重点コース、たすきがけコース、研修医を目指す人向けなどの多様なプログラムが用意されています。
また、日本大学の附属病院では自由選択枠を大幅に拡大し、研修医の自主性と主体性を尊重する初期臨床研修プログラムを提供しています。
臨床に強い研修先・医学部選びには学力も重要

最新の医療技術やさまざまな症例に接する機会が多い、希望する分野で優れた実績を持つ指導医の存在、選択の自由度の高さなど、初期臨床研修先選びのポイントは人それぞれです。
しかし、人気の高い初期臨床研修先は倍率も高く、希望を出してもマッチングするとは限りません。
そのため、少しでも有利になるために受験生のうちからできることのひとつが上位大学の医学部への入学でしょう。
医学部受験のための学習は、単に入学するためだけでなく将来の医者としてのキャリアの基礎を築く重要な過程とも考えられます。
本気で医学部合格を目指すなら京都医塾
臨床スキルの習得に向けた本格的な学習は国家試験合格後の初期臨床研修から始まるとはいえ、卒業後を見据えた大学選びも将来に影響を与える重要な要素です。
まずは志望校選びと医学部合格に必要な学力の把握に役立つのが、医学部専門予備校「京都医塾」です。
合格を可能にするオリジナルのオーダーメイドカリキュラム
言うまでもありませんが、受験生の能力は個々人によってバラバラです。
英語が得意な方もいれば、数学に特化した能力を発揮できる方もいます。
そのため、同一のカリキュラムを使用していては、実力の伸長が思わしくないケースが出てきてしまいます。
そこで京都医塾では、その人に見合ったカリキュラムを作るべく、入塾の際に受験生の現在の学力とポテンシャルを徹底分析して特注のカリキュラム、すなわち「オーダーメイドカリキュラム」を作成いたします。
このカリキュラムは、受験生の力に合わせて10,000通り以上のレベル編成で生み出されるため、長所を伸ばすとともに短所の克服の両方をこなすことが可能です。
また、オーダーメイドカリキュラムは受験生の学習の進捗状況や模試の結果をもとに柔軟に変更を施し、常に最適化を行って最良の状態で授業を実践しています。
志望校合格に必要な力から逆算して、個別カリキュラムを作成
自分に合った医学部を持つ大学が見つかったあとは、その志望校に入学するためには自分の学力を志望校の合格ラインまで高める必要があります。
そのため、医学部合格を目指すためには、現在の学力と志望校に求められる学力のギャップを明確にし、その差を埋める計画を立てることが重要です。
京都医塾では、授業や模試、学内の学力診断テストを通じて一人ひとりの学力を詳細に分析し、合格に向けた最適な学習プランを設計します。
生徒それぞれの得意科目や弱点、学習ペースに応じて、教科別・レベル別に個別カリキュラムを構築。
1年間の学習スケジュールを細かく計画し、やるべき内容を可視化することで、自主学習時間でも効率よく目標に向かって取り組むことができます。
この徹底した逆算型の計画により、生徒は無駄のない学習を実現し、合格に必要な力を確実に身につけることが可能です。
志望校合格に向けた戦略的な学習を進めるための理想的な環境が、京都医塾には整っています。
志望校選び&受験スケジュール立案もおまかせ・週1回の1:1カウンセリング
京都医塾では、生徒一人に対して3名の担任がサポートする体制を整えています。
週に1回の1:1カウンセリングは、生徒の学習状況や進路の相談を丁寧に行う場として設けられており、学習内容に関する質問だけでなく志望校を決めるまでの迷いや日々の生活での不安にも対応します。
受験勉強は学習だけでなく生活全般に関わるもの。
生徒が勉強に集中できるよう、生活リズムの調整や勉強法のアドバイスなど、幅広くサポートしています。
生徒一人ひとりのニーズに合わせたアプローチで、志望校選びや受験スケジュールの立案までしっかりとサポートし、安心して受験に臨むことができる環境を提供しています。
まとめ

臨床力を高めるための取り組みや特徴を持つ大学を紹介しました。
そもそも「臨床に強い医学部」という評価は主観的な要素が含まれるほか、大学の教育方針や特色は異なるため、単純な比較も難しいと理解したうえで参考にしてください。
自分の興味・希望や将来のキャリアプランに合った大学選びとともに、一番重要なのが希望する大学に合格できる学力を試験当日までに身につけることです。
医学部入試は競争率が高く、高度な学力と準備が求められます。
医学部専門予備校「京都医塾」では、豊富な経験と実績を持つ講師陣が受験生だけでは難しい大学選びのアドバイスからオーダーメイドのカリキュラムによる合格に必要な学力向上までトータルでサポートを行います。
医学部合格という大きな目標に向けて、医学部受験のプロの力を活用して効率的・効果的に準備を進めてみてはどうでしょうか。