国公立大学医学部では、一次試験として共通テストの受験が必須となっています。
各大学の状況によりますが、一般的に合格の目安として8割5分~9割の得点率が求められます。
では、もしも共通テストで7割程度の得点であった場合、国公立大学医学部の合格は不可能となってしまうのでしょうか?
そこで今回の記事では、共通テスト7割で国公立大学医学部に合格することは可能なのか、という切り口で、受験制度及び得点配点の考え方まで解説します。
目次
共通テスト7割で、医学部合格は可能?
結論から申し上げますと、共通テストの得点率が7割の場合でも医学部合格は「可能」と言えます。
ただし、この「可能」は決して高い確率ではなく、さまざまな条件が合致したうえで、確固とした学力があることが前提条件となります。
さまざまな条件とは、各大学・学部で設定されている共通テストの得点と個別学力試験の得点比率、個別学力試験での得点力(関連して、共通テストの得点内訳)、数・理の得意単元が各大学医学部の出題傾向と合致しているか、などを指します。
私立大学医学部について、共通テストで受験が可能な唯一の方法は「共通テスト利用方式」です。
ですが、共通テストの得点率が7割程度の場合、この方法での合格はほぼ見込めません。
そのため、今回の記事では国公立大学医学部に限って解説をしていきます。
国公立大学医学部の入試制度
「共通テスト7割でも医学部合格の可能性がある理由」の解説をよくご理解いただくために、まず国公立大学医学部の入試について詳しく解説します。
国公立大学の医学部は、一次試験(=共通テスト)と二次試験(個別学力試験+突破者のみ面接・小論文など)の二段階の選抜があります。
共通テスト後に各大学に出願を行い、志願人数が募集人員の規定以上の倍率を超えた場合には、共通テストの結果による一次選抜(=足切り)を行います。
ただし、志願人数が規定以上の倍率を超えない場合には、志願者全員が二次試験の受験が可能です。
一次試験である共通テストの得点は、各大学の規定により圧縮(伸長)され、別途設定されている個別学力試験の配点と合計して合否判定を行います。
この圧縮・身長率の設定は各大学・学部にゆだねられているため、大学・学部ごとに共通テストの結果がどのくらい合否に関係するかが異なります。
簡単に言えば、試験全体における「共通テストが占める割合」が高い大学ほど、共通テスト重視、すなわち共通テストでの高得点が求められていることがわかります。
このことから考えると、共通テストの得点率が低い場合でも、個別学力試験の割合が高い大学であれば、共通テストの点数が低くても合格の可能性は十分にあると言えます。
2024年・医学部前期試験配点から見る、共通テストの役割
以下は、各国公立大学医学部の、共通テストの得点・個別学力試験の得点から、試験全体における共通テストが占める割合を表化したものです。
国公立大学医学部・共通テスト/個別学力試験配点一覧(2024年度)
大学名 | 共通テスト 得点 | 個別学力 試験得点 | 共通テストが 占める割合 |
徳島大学 | 900 | 400 | 69.20% |
弘前大学 | 1000 | 500 | 66.70% |
佐賀大学 | 630 | 400 | 61.20% |
旭川医科大学 | 550 | 350 | 61.10% |
島根大学 | 700 | 460 | 60.30% |
山口大学 | 900 | 600 | 60.00% |
宮崎大学 | 900 | 600 | 60.00% |
秋田大学 | 540 | 400 | 57.90% |
山形大学 | 900 | 700 | 56.30% |
富山大学 | 900 | 700 | 56.30% |
福井大学 | 900 | 700 | 56.30% |
鳥取大学 | 900 | 700 | 56.30% |
琉球大学 | 900 | 800 | 52.90% |
札幌医科大学 | 700 | 700 | 50.00% |
群馬大学 | 450 | 450 | 50.00% |
奈良県立医科大学 | 450 | 450 | 50.00% |
滋賀医科大学 | 600 | 600 | 50.00% |
香川大学 | 700 | 700 | 50.00% |
福島県立医科大学 | 650 | 660 | 49.60% |
鹿児島大学 | 900 | 920 | 49.50% |
高知大学 | 900 | 1000 | 47.40% |
三重大学 | 600 | 700 | 46.20% |
和歌山県立医科大学 | 600 | 700 | 46.20% |
横浜市立大学 | 1000 | 1200 | 45.50% |
大分大学 | 450 | 550 | 45.00% |
大阪市立大学 | 650 | 800 | 44.80% |
神戸大学 | 360 | 450 | 44.40% |
信州大学 | 450 | 600 | 42.90% |
京都府立医科大学 | 450 | 600 | 42.90% |
岡山大学 | 900 | 1200 | 42.90% |
岐阜大学 | 800 | 1200 | 40.00% |
筑波大学 | 900 | 1400 | 39.10% |
浜松医科大学 | 450 | 700 | 39.10% |
愛媛大学 | 450 | 700 | 39.10% |
九州大学 | 450 | 700 | 39.10% |
新潟大学 | 750 | 1200 | 38.50% |
北海道大学 | 300 | 525 | 36.40% |
長崎大学 | 450 | 800 | 36.00% |
名古屋大学 | 900 | 1650 | 35.30% |
東京医科歯科大学 | 180 | 360 | 33.30% |
広島大学 | 900 | 1800 | 33.30% |
熊本大学 | 400 | 800 | 33.30% |
名古屋市立大学 | 550 | 1200 | 31.40% |
千葉大学 | 450 | 1000 | 31.00% |
金沢大学 | 450 | 1050 | 30.00% |
大阪大学 | 500 | 1500 | 25.00% |
東北大学 | 250 | 950 | 20.80% |
京都大学 | 250 | 1000 | 20.00% |
東京大学 | 110 | 440 | 20.00% |
個別学力試験を重視する大学を志望校とすることで、共通テストをリカバー可能
前項の表より、東京大学や京都大学では、共通テストが得点に占める割合はわずか20%で、個別学力試験の結果が合否を左右することがお分かりいただけたかと思います。
ここまで極端な比率ではなくても、共通テストの点数よりも個別学力試験を重視する大学は少なくありません。
そのため、共通テスト受験後、自己採点であまり結果が芳しくない場合には、個別学力試験を重視する大学を志望校とすることで、共通テストの点数分を個別学力試験で挽回することが可能です。
ただし、当然ながら、共通テストよりも個別学力試験のほうが、圧倒的に難度が高いです。
そのため、「なぜ共通テストの得点率が低いか」という点がポイントとなります。
例えば、以下のような場合には、共通テストで足りない点数を個別学力試験で挽回することは十分に可能と考えられます。
・共通テストで、個別学力試験で使用しない科目(社会・国語)の得点率が極端に低かったため、全体の得点率が低い
・共通テスト対策を全く行わなかったため、目標の点数に届かなかったが、二次試験には非常に自信がある
すなわち、「二次試験対策が十分に行えている」ということです。
そのうえで、先ほど提示した「共通テストの得点比率が低い大学」を志望していることも必要となる場合があります。
もちろん、共通テストで得点が十分にできていることが理想ではありますが、共通テストの受験後、想定よりも得点率が低かった場合に、出願までに志望校を再検討することは少なくありません。
そのため、万が一のリスクヘッジとして、各大学における共通テストの位置づけの理解、そして「共通テスト●割で▲▲大学受験」など、あらかじめ志望パターンを検討しておくことも重要です。
ただし、個別学力試験の割合が高い大学は、比較的高倍率の傾向にある大学が多く、年によっては第一次選抜、いわゆる「足切り」が実施されます。
第一次選抜は共通テストの得点率で実施されるため、あまりにも共通テストの得点率が低い場合には、二次試験という挽回の機会を待たずに国公立の受験機会を喪失してしまう可能性があります。
これらの内容を踏まえ、「共通テストの得点率7割程度」で「個別学力試験での逆転合格が狙える」、「第一次選抜(足切り)実施のリスクが低い大学」をご紹介します。
●【金沢大学 医薬保健学域】医学部
共通テスト450点/個別学力試験1050点(30.00%)※共通テスト得点目安:81%
二次試験の難易度はもちろん高い一方で、共通テストの得点比率30%前後の他大学(千葉大・大阪大)と比較するとやや難度が低いと言えます。
そのため、二次試験は比較的高得点を取得する必要があります。
医学部受験は個別学力試験だけの対策で十分?
ここまで、共通テスト7割でも医学部合格は可能、という軸でお話をさせていただきました。
しかし、そうはいっても、一般的には個別学力試験のほうが、圧倒的に難度が高いです。
また、人気の大学では近年でも足切りの実施実績があることからも、共通テストを軽視し、個別学力試験の対策のみに注力するのは非常に危険です。
もしも、共通テストに対する苦手意識や、個別学力試験で使用しない科目の学習時間がもったいないあまりに、共通テスト対策を実施しないまま臨もうと考えているなら、その考えを改めることをおすすめします。
医学部合格を目指す人材であれば、ポイントを押さえたのみの共通テスト対策であっても、効果を十分に発揮可能です。
少なくとも、大きく全体の得点割合を下げてしまうような得点にはならない可能性が高いと言えます。
共通テストは学習時期とかける時間を決めたうえで、ポイントを押さえて対策し、個別学力試験はしっかりと時間をかけて対策する、など、受験勉強の大まかな学習プランとして組み立てておくことが重要です。
もしも、プランニングや独学でのポイント学習に自信がない場合には、予備校などの指導を視野にいれることをおすすめします。
志望校への最短ルートで合格を目指す! 医学部合格を目指すなら京都医塾
ここまで、国公立大学医学部の合格に向けて、共通テストはどのような役割を持っているのかを、各大学における得点率の比率を軸にご紹介しました。
共通テスト対策は「効率よく」「時間をかけずに」行えることが理想です。
ただし、受験生にとっては、共通テストにどの程度時間を割くべきなのか、またはどのような時期に・どのような教材で学習するべきか、難しい問題です。
ましてや、個別学力試験の対策と並行しての学習が求められる中、同時進行で効率よく学習を進めるのは至難の業です。
そんな受験生におすすめの予備校が、医学部専門予備校「京都医塾」です。
京都医塾は、医学部合格を目指す受験生を対象に、圧倒的な指導力と徹底したサポートを行う“医学部専門予備校”です。
以下では、京都医塾についてご紹介します。
年間3,500時間もの学習を達成させる独自メソッド
医学部合格に向けては、質の高い学習時間だけでは不十分です。
日本最難関の入試を突破するにあたっては、学習「量」も当然ながら求められます。
京都医塾では、独自の個別カリキュラムを設定し、年間で2,000時間以上の授業の受講計画を立案・実施します。
加えて、授業以外の自習時間のTodoも明確化するため、自習時間中も迷うことなく必要な学習を進めることが可能です。
京都医塾のカリキュラム・Todoに則り行うことで、年間で1,500時間の自習時間を有効活用できます。
京都医塾の独自メソッドであれば、必要な学習単元に絞ったうえで、年間3,500時間もの学習時間を確保することが可能です。
京都医塾のカリキュラムに沿って学習することで、各科目・単元を効率よく学習&発展的な内容まで網羅できるだけの「勉強量」をやり抜くことができます。
志望の医学部合格のため、一人ひとりにぴったりのカリキュラムを設計
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圧倒的な学習効率と学習時間を実現するためのベースとして、個別カリキュラムの設計に力を入れています。
共通テストの結果も踏まえた個別面談&最新情報に基づく進路指導
京都医塾では、志望校の選定はもちろん、共通テストの結果を踏まえた個別面談・進路指導も行っています。
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生徒一人ひとりの得手不得手や共通テストの得点率を分析したうえで、直前期まで二次試験対策についての具体的な指導を行います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
共通テストの低得点率からの挽回方法、そして個別試験と共通テストの関係性をご理解いただけたかと思います。
また、記事を読んでいただいた方の中には、京都医塾の医学部合格メソッドに興味を持ってくださった方もいらっしゃるかと思います。
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