Doctor of doctorsとも呼ばれ、病気や健康に関する専門知識を活かし、臨床現場を支える病理医は、医学の発展に欠かせない存在です。
そこで、今回の記事では、病理医になるためのステップや、仕事内容、年収、求められる資質まで詳しく説明します。
さらに、病理医を目指す方におすすめの大学もご紹介しますので、医学部進学や、病理医に興味を持つ方はぜひ最後までお読みください。
目次
「病理医」とはどんな医師?
まず、「病理医」とはどのような医師なのか、その仕事内容や年収など、基本的な情報をご紹介します。
疾患の”確定診断”を行う医師
病理医は「Doctor of Doctors(医師の中の医師)」とも呼ばれ、臨床医の治療方針の決定に、大きく貢献し、臨床現場を支える存在です。
一般的な「診察」や「治療」ではなく、病理医は、主に「組織診断(生検および手術材料)」、「細胞診断」、「病理解剖(剖検)」の3つの役割を担います。
すなわち、疾患の原因や治療効果を診断することで、治療に役立つ情報の提供を行うのが、病理医の役割です。
病理医は、臨床現場に欠かせない存在であるにもかかわらず、非常に数が少ないという現状もあります。
2018年度の厚生労働省の調査(「2018年度医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」)によると、全体の医師の総数に対して、病理医が占める割合はわずか0.7%となっています。
病理医不足の波は大きく、継続して人材が求められる存在である、という点も押さえておきましょう。
病理医の仕事内容
病理医の仕事内容は、「組織診断(生検および手術材料)」、「細胞診断」、「病理解剖(剖検)」である、とご紹介しました。この3つの役割について、もう少し詳細に解説します。
①組織診断(生検および手術材料)
組織診断とは、採取した細胞が構成している組織を採取し、顕微鏡で検査・判断する診断を指します。
例えば、病変部から採取した、小さい組織片を顕微鏡で見て診断したり、手術して切除された検体から臨床診断を確認したり、どの程度病気が進展しているかなどを検証することを指します。
病理医は、手術に参加し、手術中に採取した細胞を標本化したうえで、短時間に病理診断を下して、手術方針を決めることもあります。
②細胞診断
細胞診断とは、病変部の細胞を採取し、顕微鏡を使って細胞の中から、異形細胞(がん細胞など)を探し出します。
例えば、子宮粘膜の表面から細胞を採取したり、乳腺近くの病変部から注射器を使って細胞を採取したりすることで、細胞を検査します。
③病理解剖(剖検)
病理解剖とは、病気で亡くなられた患者さんのご遺体を解剖し、臓器や組織、細胞を分析することで、死因の特定や治療の適切性・効果測定(病態の解析や実施した治療の効果の検証)を行います。
病理医の年収
地域や働き方にもよりますが、病理医の年収はおよそ1,000万円~1,500万円と提示されています。
労働政策研究・研修機構実施の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(2012年)のデータによると、医師全体の収入について、1,000万円以上が全体の69.2%、2,000万円以上が全体の7.7%となっています。
病理医に求められる資質とは?
ここまで、病理医の仕事内容や年収についてお伝えしました。
病理医が、患者にとってどのような役割を果たしているのか、またその存在の重要性がお分かりいただけたかと思います。
では、病理医になるためには、どのような資質が求められるのでしょうか。以下で解説します。
Doctor of Doctorsとも呼ばれるだけの総合力の高さ
病理医は、Doctor of doctors(医師の中の医師)と呼ばれるほどに、医師として多くの知識・経験、そして判断力が求められます。
そのため、全科の検体を扱えるだけの知識をつけること、剖検による全身の病態診断に慣れる必要があること、病理総論的な見方を訓練し、全身の臓器に共通した病変の概念を理解することなど、一般的な診療科の医師よりもより広い知識と経験が求められます。
言い換えれば、病気を正常からの逸脱の度合いという見方からとらえ、病気の本質的な部分を深く考えること、この総合力の高さが病理医には求められます。
丁寧かつ地道な作業ができること
病理医は、一般的な診察や治療、手術といった、患者に直接触れるような関わりはほとんどありません。
組織や細胞を採取し、顕微鏡で観察・検証を繰り返すことで、治療の効果を測定したり、病気の診断を行うことで、患者や臨床現場の他の医師へ正しい情報を提供するのが主な役割です。
そのため、病理医には、丁寧かつ地道な作業の継続が求められます。
同じような観察・診断が必要な中、その先に居る患者に正しい情報を伝えるために、手順と判断基準に則った確実性の高い診療を継続できる、この忍耐にも近い力が求められます。
病理医になるためのステップ
では、実際に病理医になるためには、どのようなステップを辿る必要があるのでしょうか。
病理医の一つの目標として、「病理専門医」があります。そこで以下では、病理医から病理専門医になるためのステップについて解説します。
①医学部に合格&卒業し、医師免許を取得する
まず、日本で医師として働くには、医学部を卒業し、医師国家試験に合格する必要があります。
医師国家試験の受験資格は、日本国内の医学部を卒業することが必須のため、どの診療科志望でも最初のステップは共通で「医学部合格」および「卒業」となります。
②初期臨床研修期間で「病理診断科」を選ぶorその他の診療科で研鑽を積む
医師免許取得後、初期臨床研修に2年間行います。
その際に「病理診断科」を選択できる病院を選ぶことも可能ですが、いきなり希望が叶うとは限りませんので、この点は注意が必要です。
初期臨床研修後、日本専門医機構へ専攻医の届け出を行い、「専攻医」として登録する必要があります。
③病理専門医になるためには、基幹施設に所属のうえ研修プログラムを修了する必要あり
病理専門医となるには、基幹施設(プログラムの実施に責任をもつ施設)に所属したうえで、病理専門研修プログラムを修了する必要があります。
病理専門研修プログラムは、3年から4年の履修のうえ、履修後に病理医試験を受験する必要があります。
この認定は有効期限は5年間で、その後更新が必要です。更新時には、診療実績や講習の受講が必須となります。
病理医を目指す人におすすめの大学医学部
ここまで、病理医について様々な側面からご紹介をしてきました。
総合力の高い医師となるために、自分が集中して学習に取り組める環境に身を置くことが重要です。
ただし、「どんな風に大学を選んだらいいかがわからない」という方も多いかと思いますので、以下で、病理医を目指す方におすすめの大学医学部を2つご紹介します。
北海道大学医学部
北海道大学医学部では、4年生2学期に1週間、6年生1学期に6週間、病理部での実習を実施します。
「臨床実習プログラム」に則り、実践的な病理実習の経験を積むことができるため、病理医を目指す方に非常におすすめの大学です。
また、病理専門医を目指すにあたって必要な専門研修プログラムを提供しています。
病理専門研修プログラムの履修を見据えた学習ができる環境は、病理医を目指すモチベーションを高く保つにも最適と言えます。
北里大学医学部
北里大学医学部では、4・5年生時に1週間のBSL、6年生時には希望者を対象に3週間のクリニカルクラーシップを実施しています。
実際に病理標本を作ったり、病理医としての診断業務に携わったりと、充実した内容の研修期間となっています。
希望すれば、実際の病院での病理業務を見学することも可能なため、大学進学後早い段階から「病理医はどのような仕事をするのか」を実際に見ることができます。
そのため、病理医を目指す方にとって、非常に良い環境と言えます。
医学部進学後まで見据えた進路指導! 医学部合格を目指すなら京都医塾
いかがでしたでしょうか。
病理医は、医師の中でも専門性が高く、総合的な力が求められます。
医学部入学後・臨床研修後も、たゆまぬ努力が求められる立場ではありますが、それだけの重要度とやりがいがある仕事と言えます。
まずは、病理医を目指す第一歩として、医学部への合格を目指しましょう。
ただ、医学部を目指す方の中には、思ったように勉強が進まず、目標はあるのに勉強に注力しきれない…という悩みをもつ方も多いかと思います。
そこで、おすすめしたいのが、医学部専門予備校「京都医塾」です。
京都医塾では、国内医学部受験はもちろん海外の医学部受験を目指す受験生もサポートしています。
「病理医を目指しているけれど、あまり知識がなく心配」
「医学部受験を自分の力だけで乗り切るのは不安」
など、医学部受験についてお悩みを抱えている方におすすめの予備校です。
以下では、京都医塾がどのように医学部志望者をサポートしているか、お伝えします。
志望校合格ラインから逆算して作成・個別カリキュラム
まず、京都医塾では、生徒それぞれの目標に合わせたプランニングを行っています。
個別カリキュラムと言われると、さまざまな塾・予備校で展開されているサービスを想起するかと思いますが、京都医塾の個別カリキュラムは、単純な学習カリキュラム設計にとどまりません。
京都医塾では、入学時に学力診断テストを実施します。
その結果+模試の結果などを起点として、目標とする大学医学部の合格ラインとのギャップを測り、科目ごとに詳細な戦略を立てていきます。
授業の内容はもちろん、授業形式(個別指導/少人数集団授業)、自習内容・自習方法、使用する教材・順番まで、細やかに指示します。
そのため、「今何をすべきかわからない」や、「その日の気分で学習内容を決める」といった無計画な学習を避け、必要事項に徹底的に絞った学習で、効率的に医学部合格への道をたどることができます。
医学部二次試験に徹底対応! 小論文・面接指導
医学部受験では、ほとんどの大学で二次試験が実施されます。
二次試験の内容は各大学によって異なりますが、多くの大学で小論文や面接が実施されています。
また、二次試験の参考資料として、出願時の提出書類の1つ“志望理由書”を参照する場合もあります。
京都医塾では、出願時の志望理由書の添削、そして二次試験対策を実施しています。
過去に各大学医学部で出題された小論文・面接の試験内容データを基に、実践的な模擬課題・模擬面接を実施します。
できに納得がいかない場合には、何度でも再受講が可能です。そのため、自信をもって本番に臨めるまで、万全の準備が可能です。
直前期でも質問OK! 常駐講師がいつでも質問対応
京都医塾の強みの1つとして、直前期を含め、いつでも質問ができる環境を提供している点が挙げられます。
京都医塾では、大学生アルバイトによるチューターではなく、「医学部指導のプロ」である専門講師が質問対応を行っています。そのため、どんなに難度の高い問題であっても、回答に時間がかかることなく、疑問の即時解決が可能です。
また、単純な質問への回答だけでなく、苦戦している問題や単元をどう克服するべきか、具体的なアドバイスが可能な点もプロ講師が質問対応を行う京都医塾ならではの強みです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
病理医は、医師の中でも非常に専門性が高く、また責任のある立場と言えます。
信頼される医師となるために、まずは、目標とする志望校合格に向けて、正しい情報の入手と入念な事前準備を心がけましょう。
また、記事を通して、京都医塾のサポート内容にご興味をもってくださった方も多いかと思います。
しかし、京都医塾は京都に拠点を置いているため、遠方の方の中には「せっかく興味をもったけれど、通塾は難しいだろう」と感じられた方も多いかもしれません。
京都医塾は寮を完備しておりますので、遠方から入寮のうえご通塾いただいている方も少なくありません。
一方で、遠方での生活は心配も多いかと思いますので、ご入塾の前に、京都医塾でどのような指導を行うのか、また京都医塾への通塾がどのようなものになるのかを体験いただく、『一泊二日医学部合格診断』を実施しております。
京都医塾にお越しいただき、指導理念のご説明・授業体験など、京都での生活をイメージいただける2日間となっています。
交通費や滞在費は、京都医塾が負担いたしますので、みなさまのご負担はございません。
京都医塾に少しでも興味をもってくださった方や、医学部受験を検討中の方に有益な会となっておりますので、ぜひご参加ください。