100年以上の歴史のある慶応義塾大学医学部。
同学部は細菌学の権威として有名な北里柴三郎によって創設され、医療と研究を軸とした「基礎臨床一体型」の教育を実践してきました。
そんな慶応義塾大学医学部では、学生にハイレベルな学習環境を提供しているとあって、毎年多くの受験者が難関に挑んでいます。
今回の記事では、慶応義塾大学医学部の合格を目指している人たちに向けて、同大学医学部の偏差値や学費、入試問題を中心に情報を一挙にまとめました。
目次
慶応義塾大学医学部の基本情報
まずは、慶応義塾大学医学部の基本情報について解説していきましょう。
入学定員と入試要項、学費について詳しく説明していくので、ぜひ参考にしてください。
入学定員
2023年度における、慶応義塾大学医学部における一般選抜の定員数は66名となっています。
そのほか、「塾内進学」、つまり内部進学という形で入学する学生もいますが、正確な人数は公式発表されておりません。
ただ、同大学のパンフレットによると、系列の高等学校5校から全体の約2割を選抜するとされています。
入試要項
入学定員の説明に続いて、入試要項についても押さえておきましょう。
慶応義塾大学医学部の試験は1次試験と2次試験の計2回に分けて行われます。
2023年度の試験は、一次試験が同年2月19日、二次試験が3月2日に実施される予定です。
試験の内容については、前者が外国語と数学、加えて理科2科目、後者では小論文と面接試験が課せられます。
出願時は登録の際に、主体性や多様性、協同性に対する私見を述べるよう求められますので、あらかじめ答えを用意しておいてください。
学費
慶応義塾大学医学部の学費は約22,000,000円で、私立大学医学部の中では比較的、低額なものとなっています。
一括で支払うのが難しい家庭の場合は、学費についてのみ2回に分割して納めることが可能です。
慶応義塾大学医学部の難易度
慶応義塾大学医学部は、国内でも有数の難関校として知られています。
この項では、そんな慶応義塾大学医学部の偏差値や受験倍率を解説していきましょう。
偏差値
慶応義塾大学医学部の偏差値は72.5で私立大学医学部の中ではトップの値となっています。
下位の医学部としては、偏差値70.0の東京慈恵会医科大学や順天堂大学が続き、その後を、偏差値67.5の東北医科薬科大学や昭和大学、東邦大学が追随する形となっています。
倍率
続いて倍率に関しても見ていきましょう。
慶応義塾大学医学部における過去3年間の入試倍率は、例年およそ7倍から8倍の間で推移しています。
同一の偏差値の学部が存在しないため比較対象がありませんが、一つだけ言えることは、一般的な医学部よりも相当な学力や、医師としての資質が必要とされるということです。
上記のとおり、国内の私立大学医学部の中でも最高峰ですから、合格のためには尋常ならざる努力を要するでしょう。
受験に際しては、予備校などの専門教育施設に通うなどして、十分な対策を施してから受験に臨むことをおすすめします。
▼慶応義塾大学医学部の入試データ
・2020年度
入試日程 | 倍率 | 募集人数 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 |
一般選抜 | 8.4 | 66 | 1391 | 1170 | 41 |
・2021年度
入試日程 | 倍率 | 募集人数 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 |
一般選抜 | 7.3 | 66 | 1248 | 1045 | 171 |
・2022年度
入試日程 | 倍率 | 募集人数 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 |
一般選抜 | 7.8 | 66 | 1388 | 1179 | 178 |
慶応義塾大学医学部の特徴
慶応義塾大学医学部には伝統に基づく特徴や、フィジシャン・サイエンティスト育成に力を入れているといった特徴があります。
こちらの項では、慶応義塾大学医学部の特徴について見ていきましょう。
長い歴史の中での縦のつながりが、将来の強みに
慶応義塾大学医学部は1917年、細菌学の権威と言われた北里柴三郎を初代学部長として設立されました。
100年以上もの歴史を持つ伝統校ですからOBやOGの人数も多く、OB会などでは寄付という形で学生を大きく支援してくれています。
OB会の恩恵は、これだけではありません。
慶応義塾大学医学部には、OB会とともに100年間かけて作り上げた医学・医療に関する全国ネットワークが存在します。
慶応義塾大学医学部は、約100もの関連病院や35の教育病院、さらに国内外の研究機関と連携して医学の発展を実現しています。
このようにOBやOGとのつながりこそ、慶応義塾大学医学部ならではの強みなのです。
フィジシャン・サイエンティストの育成
慶応義塾大学医学部が特に力を入れている分野が、フィジシャン・サイエンティストの育成です。
フィジシャン・サイエンティストとは、患者の治療を行いつつも日々医療の研究に取り組み自己研鑽を怠らない考え方を指します。
先進医学の発達のスピードは目まぐるしく、研究を怠った場合すぐにスキルや知識が通用しなくなってしまいます。
慶応義塾大学医学部ではそういったケースが発生しないよう、良医を育てるだけでなく医療に対する探究心も育む教育を実践しているのです。
総合大学の強みを活かした、他学部との合同教育
慶応義塾大学医学部では総合大学の強みを活かし、看護医療学部や薬学部との合同教育も行っています。
この合同教育を実施することで「チーム医療」に対する理解が深まる他、個々人のコミュニケーション能力が向上します。
チーム医療への理解が深まり、かつコミュニケーション能力が発達すれば患者中心のグループアプローチが実践可能な高度な人材となるでしょう。
慶応義塾大学医学部の入試問題対策
さて、ここから先は慶応義塾大学医学部の入試問題の対策方法について解説していきましょう。
慶応義塾大学医学部の一次試験では英語と数学、加えて理科二科目が課されます。
科目ごとに分けて解説しますので、ポイントをしっかり押さえていってください。
英語
英語は4題で構成されます。
和訳や内容説明といった記述問題、自由英作を含む英作文など、国公立の英語に近い設問となっているのが大きな特徴です。
長文問題は医療系のものに限らず、マナーやコミュニケーション、社会問題を取り上げたものも出題されます。
英語は非常にボリュームのある試験内容となっていますので、日英ともに記述力を鍛えておくとともに、応用力も身に付けておいてください。
数学
数学は、小問を含んだ大問が4題出題されるケースが多く見られます。
数学Ⅲの微分・積分の証明問題がよく出題され、難易度は難関国立大学クラスです。
他にも論証能力や計算処理能力の両方の力を問う問題が出題されるため、総合的な学習をしておく必要があります。
数学の学習では最難関国立医学部レベルの過去問で徹底的に演習をし、十分な実力を身に付けておきましょう。
物理
大問は3題で、すべて記述式です。
難易度はやや難~難であり、全私立医大の中で最も難しい出題となります。
特に、工学装置などを題材として、あまり見慣れない設定を短時間で構造的に読解させる問題が、毎年のように出題されています。
そのため、高校物理の網羅的な知識を具えることはもちろんのこと、相当に高度な計算力、読解力、思考力を身に付ける必要があります。
化学
化学は例年、大問が3題出題されます。
原子の構造と化学結合に関する問題や反応の速さと化学平衡、そして脂肪族に関する問題が多く出題されています。
化学の場合、大問数が少ないことに加えて難問がほとんど出題されないため、定番問題を解けるだけの知識が定着していれば高得点を狙えるはずです。
ただし、計算問題では導出過程を求める問題や、語句を説明する問題が数多く出題されることから、記述問題の対策をしていないと時間が足りなくなってしまうおそれがあります。
化学を学習する際は、計算問題を素早く解く練習をしておき、内容がともなった回答を導き出せるようにしておきましょう。
生物
生物は大問が3題課されます。
核酸とタンパク質合成に関わる問題や、神経系・筋肉に関わる問題がよく出されます。
高校の教科書内容を超越した、大学で学ぶような内容の出題が非常に多く、取り組み辛いのが特徴的です。
論文などから引用した見慣れない表や実験結果に基づき、関連する知識を問われたり、考察を進めていく形になっています。
与えられた情報から前後関係を正しく理解して、推論する能力が求められています。
まとめ
慶応義塾大学の医学部は、私立大学の中でも指折りの難易度を誇っています。
偏差値72.5は日本最高学府と肩を並べるほどの数値ですから他の大学に挑む場合よりも、より一層、学習に励む必要があります。
そのため慶応義塾大学医学部を志す人たちの中には、充実した環境で効率よく勉強したいと思い、予備校や塾を検討している人も多くいるはずです。
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