大学から高校に与えられた推薦枠を、学校内で進学を希望した学生を対象に選抜を行う「指定校推薦」。
指定校推薦は、高校と大学の信頼関係で成る推薦枠のため、学内選抜を突破することで非常に高い合格率の推薦試験を受験することができます。
では、「指定校推薦」で医学部への進学は可能なのでしょうか? この点を疑問に思われる方も多いかと思います。
今回の記事では、指定校推薦の仕組みや概要を解説したうえで、指定校推薦を実施している大学医学部はあるのかどうか、そして指定校推薦を視野に入れた場合の注意点まで詳しく解説します。
指定校推薦を検討している方や、医学部受験を目標としている方におすすめの内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
指定校推薦とは?
まずは、指定校推薦の仕組みや、大まかな選抜の流れから解説します。
大学が指定した高校に推薦枠を設ける「学校推薦型選抜」の一種
指定校推薦は、大学が指定した高校(=指定校)の生徒のみが出願可能な推薦型入学試験を指します。
大学側が、全国の各高校の実績や校風を加味して検討し、「指定校」を決定します。
このとき、大学は指定校側に「●●学部に●名」といった学部(学科)につき何枠、という形で推薦枠を与えます。
各大学は全国の高校を対象に「指定校」を決定するため、募集人数は決して多くはありません。
一般的には各学部・学科で1名~3名程度がほとんどの、非常に狭き門です。
ただし、附属校や系列校など、運営元の学校法人が同じ場合にはその限りではありません。
大学側から提示された条件に基づき、各高校で指定校推薦の志願者を募集します。
指定校推薦の募集時期は高校によって異なりますが、一般的に6月上旬~7月下旬までに出願受付、9月~10月ごろに校内選抜を行い、推薦者を決定し、10月~11月ごろに大学への出願・選抜、となります。
指定校推薦の多くの場合、年内に合否が判明するため、共通テスト利用や一般入試よりも早いタイミングで進学先が決定します。
指定校推薦は、基本的に、合格したら必ず進学する、「専願」の一種です。
また、大学側がその後も指定校として設定するかどうかを検討するために、指定校推薦で進学した学生の成績は大学側でも逐次確認が行われることが一般的です。
また、高校側にも共有され、その後の指定校枠を享受できるかどうかに関わることもありえます。
そのため、高校側としては、単純な成績上位者という条件の選抜ではなく、人格的にも高校が自信をもって推薦できる生徒を選抜する傾向にあります。
医学部への指定校推薦はある?
前項にて、指定校推薦の仕組みや選抜の内容について解説しました。
通学している高校が、大学の指定校となっていれば、指定校推薦の受験は可能であることがお分かりいただけたかと思います。
では、医学部への指定校推薦は存在するのでしょうか? 以下で詳しく解説します。
私立大学の一部で、指定校推薦を実施している
結論として、私立大学の一部で、医学部への指定校推薦を実施しています。2023年現在、具体的には以下の4大学で実施しています。
大学名 | 募集人数 | 選抜方法・出願条件 |
北里大学 | ・指定校:35名・地域枠指定校:山梨県枠2名、茨城県枠4名、神奈川県枠5名、埼玉県枠2名、新潟県枠3名 | 調査書 / 基礎学力検査(英語・数学・理科2科目) / 小論文 / 面接(グループ) |
獨協医科大学 | ・指定校:20名・指定校(栃木県地域枠):5名以内 | 調査書 / 自己申告書 / 面接 |
埼玉医科大学 | ・指定校:5名程度 | 自己推薦文 / 適性検査(英語・数学・理科2科目) / 小論文 / 面接(個人)※全体の学習成績の状況が4.0以上で、数学・理科・外国語の学習成績の状況がそれぞれ4.0以上の者、など |
金沢医科大学 | ・指定校:5名 | 自己推薦書 / 基礎学力テスト(英語・数学・理科2科目) / 面接(個人)※石川県、富山県、福井県等の指定された高等学校が対象 |
この4大学それぞれが、全国いずれかの高校を「指定校」として設定している、ということになります。
選抜条件・出願条件の詳細は指定校にのみ公開されるため、確認できた内容のみ掲載しています。
国公立大学への「指定校推薦」はない
ここで、指定校推薦について大きな注意点があります。
それは、国公立大学には「指定校推薦」での推薦枠は存在しない、という点です。
すなわち、指定校推薦は“私立大学から各高校への推薦枠“と理解するとよいでしょう。
国公立大学の推薦は「公募制」という、条件を満たせば平等に出願機会が与えられる方式を採用しています。
公募制一般選抜・公募制特別推薦選抜・総合型選抜の3種類の推薦方式があり、各大学でそれぞれ条件を設定して実施をしています。
また、「地域枠」や「特別選抜」といった特定の条件を満たす学生を対象にした推薦も実施していますが、「指定校推薦」の実施はありません。
そのため、国公立大学への進学を志す場合には、公募制推薦または一般入試での合格を目指すこととなります。
医学部への指定校推薦枠がある高校は?
「医学部への指定校推薦枠がある具体的な高校名を知りたい!」と思われる方もいらっしゃると思いますが、こちらをご紹介することは難しいです。
理由としては、高校が開示している指定校推薦枠は「大学名」までにとどまっていることが多く、在校生やその保護者以外が「医学部」に対する指定校推薦枠の有無を確認することは難しいと言えます。
また、先述の通り、年度によって指定校の見直しや、与えられる枠が異なるため、「この高校が医学部指定校です」といったご紹介をしたとしても、受験年度にその枠が存在しない可能性もあるためです。
あくまでも参考として、以下に首都圏の高校情報から、医学部への指定校推薦枠が明示されている高校を一部ご紹介します。
成蹊高校、世田谷学園高校、京華高校巣鴨高校、中央大学附属高校、桐朋女子高校、桐蔭学園高校、山手学院高校、栄東高校、立教新座高校、秀明高校、獨協埼玉高校、西武学園文理高校、暁星国際高校、学芸大学附属高校、お茶の水女子大附属高校 |
医学部を指定校推薦で受験することを検討されている方は、これらの高校に実際にお問い合わせのうえ、進学を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
指定校推薦で医学部進学を狙うデメリット
ここまでをお読みいただいて、「比較的高い合格率ならば、指定校推薦を利用したい」と考えた方は少なくないかと思います。しかし、指定校推薦は一般入試とは性質の異なる難しさがあります。
以下では、指定校推薦で医学部進学を狙う場合のデメリットについて解説します。
①合否の基準が明確でない
医学部の指定校推薦の条件として、まず評定平均(高校1年生~3年生までの評定の平均値)が指定値以上であることが求められます。
難関大学であれば、4.3以上が標準条件ですので、3年間にわたってほぼ全科目で4ないしは5という高い評定を獲得している必要があります。
また、先述の通り、指定校推薦は人格的にも推薦に値する人物を選出する傾向にありますので、委員会や課外活動、欠席・遅刻の数など、学業以外の生活部分も踏まえて校内選抜が行われます。
そのため、自分以外の志望者の成績・実績によっては、自分がどれだけ成績優秀であっても、校内推薦の突破ができないことも多々あります。
すなわち、自分の成績だけでなく、自分と同じ大学・学科を志望する他の生徒との比較によって合否が判定されるため、合否の基準をあらかじめ把握することが不可能です。
「こうすれば確実に合格できる」といった指標がないことから、指定校推薦という方法のみで医学部受験を志すのは、かなりのリスクがあると言えます。
②指定校推薦一本で準備をしてしまうと、一般入試に間に合わない
また、指定校推薦は6月・7月に志願、9月・10月に校内選抜、10・11月ごろに大学による選抜試験を受験することになります。
一般入試よりは低い倍率で受験が可能ではありますが、当然不合格となる場合もあります。
特に、医学部入試においては、「医師としてふさわしい人物か」という観点で評価されるため、条件を満たさない人物であると判断された場合、指定校推薦であっても不合格となります。
すなわち、万が一不合格となった場合、11月~1月(2月)の期間で一般入試の準備をしなければなりません。
並行して準備を進めていたとしても、一般入試のみに絞って準備をしている人たちと比べると、準備時間の少なさは大きな痛手となります。
そのため、指定校推薦のみを受験方法として設定してしまうと、一般入試に間に合わず、結果どちらも不合格…といった残念な結果に繋がりかねません。
③年度によって募集枠が変わるため、受験年度に募集があるとは限らない
そして、そもそも指定校推薦の募集枠は毎年見直しが行われているため、自分の受験年度に募集があるとも限りません。
例えば、これまで指定校推薦を行っていた聖マリアンナ医科大学医学部は2023年度から指定校推薦を廃止しました。
また、東京女子医科大学も、2024年度からの指定校推薦の廃止を発表しています。
そのため、先ほどご紹介した4大学であっても、今後も確実に募集枠を設定する保証はなく、指定校推薦のみをたよりに高校選択・進路方針の決定を行うことは、非常に危険であると言えます。
指定校推薦を視野に入れる場合でも、一般入試の準備は必須
指定校推薦は、高校3年間にわたって努力を積み重ねてきた学生に対して、大学と高校との信頼関係に基づき推薦枠を享受する仕組みです。
そのため、厳しい条件ではありますが、校内選抜を経て高い合格率の推薦試験に挑戦することができます。
一方で、受験生にとって、指定校推薦は確実性に欠ける入試方法と言えます。
自分自身の成績のみならず、他の生徒からの応募の有無、そしてその人物の成績・実績によって、合格ラインが全く異なってくるからです。
そのため、指定校推薦を利用して医学部進学を目指す場合にも、一般入試に向けての準備は必須と言えます。
指定校推薦は「校内選抜を突破出来たらいいな」ぐらいのマインドセットのうえ、基本的には一般入試で合格する、という位置づけで万全な準備をすることをおすすめします。
面接&推薦&一般入試全てに対応可能! 医学部合格を目指すなら京都医塾
指定校推薦をはじめ、推薦での入学には、2次試験の小論文や面接の対策が必須です。
また、一般入試と並行して推薦入試の準備を行う必要があるため、一般入試の対策をしながら、小論文の添削や面接のフィードバックを実施してくれ、2次試験対策について相談できる予備校がほしい、と考える方も多いかと思います。
そんな方におすすめなのが、京都にある医学部専門予備校「京都医塾」です。
以下では、推薦入試・一般入試ともに多数の医学部合格者を輩出している「京都医塾」について、ご紹介します。
医学部合格のための徹底的な分析・プランニングで1人1人のカリキュラムを作成
京都医塾では、生徒1人1人に対する個別の合格プランを立案しています。
指定校推薦の利用を視野に入れている場合には、一般入試合格に向けたカリキュラムと並行して、評定対策として学校の定期考査対策や、推薦試験対策、志望理由書の添削、面接練習などを行う必要があります。
これらの対策を適切な時期に実施するために、各試験日程から逆算し、「何月までに」「何をすべきか」を明確なカリキュラムとして提示します。
長期目標・中期目標・短期目標が可視化されるため、最短ルートで医学部合格を目指すことが可能です。
苦手を徹底克服・レベル別少人数集団授業
指定校推薦受験において、評定対策は非常に重要です。評定平均が出願条件を満たしていない場合、出願することさえできず、高校1年生からの準備が水の泡となってしまいます。
京都医塾では、苦手な科目を 克服するために、「レベル別少人数集団授業」を実施しています。
自分の学力と近い生徒と切磋琢磨しながら、苦手克服を目標に徹底的な演習を行うため、一般的な集団授業の何倍もの効率で学習が可能です。
もしも集団授業でわからなかった部分があれば、別途個別質問も可能です。
「苦手科目があるから、医学部受験は難しいかもしれない」と考えている方にとって、京都医塾は最適な環境を提供しています。
精神面もしっかりサポート・有資格者によるメンタルケアを実施
受験勉強中は、不安や重圧に駆られてしまい、精神的に負荷を感じてしまうことが少なくありません。
特に、指定校推薦をはじめ、推薦受験と一般受験の両方の準備をしている人は、推薦試験の選抜期間や、結果がでるまでの期間に言われようのない焦燥感に駆られてしまうことが少なくありません。
そこで京都医塾では、受験生の精神面のケアのために、メンタルケアのエキスパートがサポートを行っています。
希望者へのカウンセリングはもちろん、担任との面談で気になった場合には、有資格者による本格的なメンタルケアを受けることができます。
受験勉強を不安に思うあまり、さらなる不安を引き起こしてしまうなど、悪循環に陥る前に、専門家によるサポートが受けられるため、安心して日々の学習に取り組むことが可能です。
まとめ
指定校推薦の仕組みやメリット、そしてデメリットまで、さまざまなことをお伝えしました。
指定校推薦は、あくまでも医学部合格に向けた手段の1つです。
一般入試を含め、可能なすべての方法を以て医学部を目指すことで、合格への道を切り拓いていきましょう。
また、今回の記事で「京都医塾はどんな医学部予備校なのだろう」と、興味をもってくださった方も多いかと思います。
京都医塾では、入塾を検討されている方に向けて、『一泊二日医学部合格診断』を実施しています。
『一泊二日医学部合格診断』では、京都医塾の指導方針のご説明や授業体験を実施するとともに、実力診断テストや面談を行います。
面談では、現状から医学部合格に向けてどのような強化が必要かを具体的にお伝えし、医学部合格を目指すプランの提案をさせていただきます。
医学部合格に向けて求めている環境として、京都医塾がふさわしい場所かどうか、ぜひ体験ののちご検討いただければと思います。
こちらの『一泊二日医学部合格診断』のご参加につきまして、交通費・宿泊費は全て京都医塾で負担いたします。
医学部を目標とされている方は、ぜひお気軽にご参加ください。