医学部受験において、社会の選択科目は1つの個性と言えます。
地理・歴史・公民のどの分野のどの科目を選ぶのかは、医学部受験プランに直結するため、それぞれの情報を精査したうえで、決定することが重要です。
そこで今回の記事では、医学部受験生の間で話題になる公民分野の単独倫理・単独政治経済に焦点を当て、医学部入試で利用できるかどうかや、メリットデメリットも含めてご紹介いたします。
目次
「倫理」「政治経済」とは?
国公立大学医学部を受験するためには、大学入試共通テストで社会を1科目選択する必要があります。
しかし、社会にはさまざまな科目があり、それぞれの特徴が異なるため、「どれを選んだらいいかわからない」という受験生の嘆きをしばしば耳にします。
特に、医学部志望者にとって、社会は共通テストのみの付き合いのため、ついつい判断を後回しに/考え無しにしてしまう、というケースも少なくありません。
社会は、大きくわけて「歴史」「地理」「公民」の3分野があり、その中でさらに科目として細分化されています。
昨今では、比較的範囲が狭いこと、テーマになじみがあることから「公民」分野の人気が高まっています。
そこで今回は、公民の中でも特に医学部受験生に多く選択される「倫理」「政治経済」分野について解説します。(※現代社会については別記事をご参照ください)
共通テスト「社会」で選択できる倫理・政治経済科目は3種類!
まず押さえておきたいポイントとしては、倫理・政治経済科目は「3種類」ある、ということです。
科目名から、2科目構成を想起される方も多いかと思います。しかし、倫理・政治経済科目は、「倫理」「政治経済」「倫理・政治経済」の3科目で構成されています。
特に、倫理のみ、政治経済のみの科目について、今回の記事では単独「倫理」・単独「政治経済」と呼ぶこととします。
以下では、それぞれの科目の特徴について解説します。
・①倫理
倫理は、哲学を中心とした教科で、哲学者(の思想)、宗教、近現代の哲学思想、青年期の課題などの出題分野で構成されています。
「哲学思想」が軸となるので、深い思考や理解力が求められる傾向がある一方で、社会科目の中で範囲が狭いため、暗記量を押さえたい人・短期間での社会科目の完成を目指す人におすすめの科目です。
ただし、共通テストの出題では、読解量が多い傾向にあるため、読解力に自信がない受験生は選択を避ける傾向にあります。
・②政治経済
政治経済は、政治分野・経済分野・国際分野・現代の諸問題、という大単元で構成されています。
中学校で履修する「公民」の内容にほど近く、日常生活でもしばしば目にする用語や、ニュースにまつわる内容も多いため、歴史や地理に苦手意識を持つ受験生にとって、代替案として選択される傾向があります。
歴史・地理と比較すると暗記量が少ないことから、短期間で社会科目を仕上げたい国公立志望者理系に人気が高く、また、私大の受験科目として使用できることから、文系受験生からも高い支持を得ています。
・③倫理・政治経済
倫理・政治経済は、①②で紹介した単独「倫理」・単独「政治経済」を合わせた内容となっています。
扱う内容は①②でそれぞれ紹介した通りです。
単独「倫理」・「政治経済」と比較して範囲が倍加する一方で、単独「倫理」・単独「政治経済」とは異なり、受験可能な大学に幅がある点が特徴と言えます。
3科目にはどういった違いがある?
先述の通り、「倫理・政治経済」は単独「倫理」・単独「政治経済」の内容を合わせたものとなっています。
すると、「なぜわざわざ範囲の広い倫理・政治経済を利用する人がいるの?」や「単独『倫理』『政治経済』と何が違うの?」と、疑問をもたれた方も多いかと思います。
そこで以下では、この3科目にどのような違いがあるのかを解説します。
・範囲が異なる
・受験できる大学が異なる
単独「倫理」は私大文系の社会選択で使用できない場合が多いため、倫理選択の受験生は社会科目の中で最も少なくなっています。
医学部受験においても、最難関大学では、単独「倫理」・単独「政治経済」は選択ができないなど、受験可能な大学に差異がある点は押さえておく必要があります。
例えば、東京大・京都大・大阪大・名古屋大などは、公民科目を選択する場合は「倫理・政治経済」一択となります。
そのため、少しでもこれらの大学を受験する可能性があるのであれば、受験できる大学ができるだけ多い選択肢をとっておくほうが、リスクヘッジとしては適切と言えます。
医学部受験で単独の「倫理」や「政治経済」は使えない?
ここまで解説したように、倫理・政治経済科目には単独「倫理」、単独「政治経済」という科目が存在しています。
「倫理・政治経済」と比較すると範囲が狭く、学習事項がまとまっていることから、学習が容易=医学部受験には使用できない、印象を持たれた方も多いかと思います。
では、実際に、医学部受験で単独「倫理」単独「政治経済」は絶対に利用できないのでしょうか?
以下で、詳しく解説します。
単独科目の「倫理」「政治経済」でも国公立大学医学部受験は可能
結論から申し上げますと、単独「倫理」・単独「政治経済」でも、受験可能な国公立大学医学部はあります。
一方で、前項で述べたように、難関大学医学部をはじめ、受験できない大学も多くある、という点には注意が必要です。
以下は、2024年度最新の入試要項をまとめた、単独「倫理」または単独「政治経済」を選択して受験ができる国公立大学医学部の一覧です。
(各大学の共通テスト・個別学力試験の得点割合を合わせて掲載しておりますので、志望校選定のご参考になれば幸いです)
【単独「倫理」「政治経済」を選択可能な大学】
大学名 共通テスト:個別学力試験得点割合
札幌医科大学 700:700
弘前大学 1000:500
筑波大学 900:1500
群馬大学 450:450
横浜市立大学 1000:1400
新潟大学 750:1200
信州大学 450:600
浜松医科大学 450:700
名古屋市立大学 550:1200
京都府立医科大学 450:600
大阪公立大学 650:800
奈良県立医科大学 900:100
島根大学 700:460
岡山大学 500:1100
山口大学 900:600
徳島大学 900:400
香川大学 700:700
佐賀大学 630:300
長崎大学 450:800
単独「倫理」・「政治経済」を選択するメリット・デメリット
ここまでの内容を総合して、単独「倫理」・単独「政治経済」を選択するメリット・デメリットをまとめていきましょう。
メリット
まず、国公立大学医学部受験で単独「倫理」・「政治経済」を選択するメリットです。
・範囲が限られるため、勉強がしやすい
単独「倫理」・「政治経済」の選択は、2科目が合わさった「倫理・政治経済」と比較して、範囲が狭く、学習しやすい点が最大のメリットです。
哲学的な思想は苦手だが、政治・経済分野の話題は得意、またはその反対など、自分の特性が片方の科目に合っており、効率的な学習が見込まれる場合には、社会科目の早期完成を目指しての選択はメリットと言えます。
デメリット
次に、国公立大学医学部受験で単独「倫理」・「政治経済」を選択するデメリットです。
・出願できる大学が限られる
単独「倫理」・単独「政治経済」は、決して出願の幅が広い選択科目ではないため、選択によって出願できる大学が限られてしまう、というデメリットがあります。
また、社会科目は、早い高校では高校1年生時に選択をするため、その当時の志望校・進路に合わせて選択をしてしまった結果、後から変更が難しくなってしまう、というケースも考えられます。
選択科目によって、出願できる大学を自ら狭めてしまう可能性は、大きなデメリットと言えます。
・得点調整が行われる可能性がある
単独「倫理」・単独「政治経済」は、比較的範囲が狭く、学習がしやすいことから、受験生内平均点も高い値が出やすいという特徴があります。
そして、選択科目によって大きな有利・不利がある、すなわち「選択した科目」が合否に影響を与えること、を避けるため、受験者平均に大きく差がある場合には、「得点調整」が行われます。
得点調整とは、科目間の点数の開きを是正するために、標準偏差を用いて科目間の得点の差を整えることを指します。
細かな説明は割愛しますが、得点調整は標準偏差を用いるため、例えば、得点調整が行われる回の受験時に「倫理の平均点が85点のところ、55点だった」といったように、平均点を大きく下回ってしまった場合、実点数以下の点数に調整されるおそれがあります。
・上位の大学を受験できない可能性が高い
繰り返しになりますが、東京大・京都大・大阪大・名古屋大などの難関大学では、公民科目の選択は「倫理・政治経済」のみとなります。
今後変更となる可能性ももちろんありますが、2025年の入試改革後も、この傾向はしばらく継続すると見込まれています。
これらの大学をはじめ、上位受験する可能性があるのであれば、単独「倫理」・単独「政治経済」の選択が結果としてマイナスに働いてしまうおそれがある、という点には気を付けなければいけません。
社会の選択科目は、早めに&適切に吟味すべし
ここまで、倫理・政治経済の概要、そして選択のメリットとデメリットをご紹介しました。
社会の選択科目については、判断を後回しにしても良いことはありません。
志望校や自分の特性に合わせて、なるべく早い時期に選択科目を決定することをおすすめします。
「志望校がまだ決まっていない」という場合には、なるべく受験可能な大学が多い状態にしておくために、受験可能な大学が多い科目を選択しておくことが重要です。
未来を見据えて、的確な科目選択を行いましょう。
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社会の選択科目について、そして倫理・政治経済の選択について、さまざまお伝えしてきました。
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まとめ
社会選択は医学部受験の鍵である一方、社会選択のみが合否に影響することはありません。
苦手科目の克服に努めること、また、選択科目を含め志望校を検討すること、医学部受験においては様々な場面において「戦略」が求められます。
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