医学部に入ると当然医師になるための勉強を行います。
しかし、実際にどのような勉強をするのか詳しくは知らない人もいるでしょう。
そこで今回の記事では、医学部に入学したらどのような勉強をするのか、詳しく解説します。
目次
医学部の勉強内容の基本
始めに、医学部はどのような勉強をしていくのかを大まかに解説していきます。
他の学部と医学部では、どのような違いがあるのでしょうか?
単科大学と総合大学の違い
医学部がある大学は単科大学と総合大学があります。
単科大学というのは、医学部しかない大学です。
総合大学というのは医学部以外にも学部がある大学です。
医学部に入学した学生は、医学を学ぶのはもちろんですが、その他に「一般教養」として人文科学や社会科学、自然科学などを学びます。
総合大学のほうが一般教養の種類が豊富で、他学部の学生と一緒に授業を受けることも多くあります。
一方、単科大学の方は一般教養の種類は総合大学ほどありません。
その反面「基礎医学」など医学部専門の授業を1年のうちから取り入れている大学もあります。
どちらが優れているとは一概にいうことはできませんが、早くから専門的な勉強をしたい学生は、単科大学の方が向いている傾向があります。
臨床実習
臨床実習とは、臨床医学で病気について学んだ後に、実際に病院に出向いて患者と接しながら先輩医師の指導を受ける授業です。
大学病院で診察を受ける場合、ときに学生が見学に来ることがありますが、臨床実習の一環です。
臨床実習は大学の4年生以降にはじまる大学が多く、「CBT」や「OSCE」といった全国の医学生が共通で行う試験に合格して初めて参加資格を得られます。
つまり、臨床医学をしっかりと理解していないと臨床実習を受けることはできません。
臨床実習を受けることができないと医師国家試験の受験資格を得られないので、医学生は大学に入っても勉強漬けの毎日を送ることになります。
なお、近年では、臨床実習を3年生からはじめる大学も出てきました。
医師国家試験に向けての勉強
医師になるには医学部を卒業して医師国家試験に合格しなければなりません。
2021年に行われた医師国家試験の合格率は91.4%と高いものですが、そもそも6年間医学を学んだ学生しか受験資格がないため、合格率も高くなります。
言い換えれば6年間医学を学んでも10%は不合格になる試験なのです。
医師国家試験対策は6年生の後期にはじまりますが、卒業試験対策も必要なので、学生は寝る間を惜しんで勉強します。
なお、医師国家試験は年に1度しか実施されないので、不合格になると1年を棒にふることになります。
医学部生のスケジュールって?
医学部生のスケジュールは基本的に高校生と変わりありません。
大抵の大学は8時45分~9時から授業がスタートするので、それに合わせて登校します。
時間割は自分で決めることができますが、授業数が多いので大抵の学生は17時頃まで授業があります。
学年が上がるにつれて専門的な授業が増えていきます。
17時以降は自由時間となりますので、アルバイトをしたり部活をしたりします。
休日の過ごし方は人それぞれです。
勉強に充てる人もいれば、アルバイトに精を出す人もいます。
医学部は試験に合格しなければ進級できないところが多いので、試験前はみっちり勉強に充てるという学生も多いでしょう。
高学年になっていくと臨床実習などが入ってくるので、アルバイトをする暇もないということもあります。
大学生というと勉強はそこそこというイメージがありますが、医学部に限っては勉強漬けの毎日です。
少しでも気を抜くと留年の危機がせまります。
留年をくり返すと退学勧告もあり得ます。
医学部の実習は何をする?
医学部にはさまざまな実習があります。
ここでは、医学部で行われる主な実習について解説していきます。
教養科目の実習
1~2年生で行われる教養科目では実習が課せられることもあります。
実験であったり、何かを体験してレポートを書くといったりした実習もあるでしょう。
これは大学によって内容が異なります。
まったく教養科目の実習がなく座学だけという大学もある一方、教養科目でも実習が頻繁に入る大学もあります。
これは各大学のシラバスを確認してください。
選択制の授業がほとんどです。
BLS講習
BLS講習とは、心肺停止または呼吸停止に対する一次救命処置の講習です。
救命救急士が行う救命処置(二次救命処置)をALSというのに対し、一般市民でも行える救命処置になります。
BLS講習は入学してすぐに行われることが多く、医学へのファーストコンタクトになる学生も多いことでしょう。
講習を受けると一次救命処置が行える資格が与えられます。
地域医療実習
地域医療実習とは、大学病院以外の病院に実習に行きます。
終末期医療や精神科病棟など高い専門性を持った病院が実習先に選ばれることがあります。
地域医療実習は低学年のうちに行われることが多く、医学生といっても診察などはできません。
カルテを閲覧したり診察の様子を間近でみたり、食事介助などを行ったりします。
当直などを経験できる病院もあります。
この実習を行うことで、医学生達は「病院で働くとはどういうことか」を体験します。
臨床医学の実習
臨床医学では、基礎医学をはじめとする授業ごとに色々な実習があります。
実験をしてレポートをまとめる試験もあれば、データを集める実習もあります。
座学だけでは学びきれないことを実習で行って医学の知識を身につけていきます。
実習内容は大学によって異なりますので、シラバスを確認することが大切です。
また、各大学のパンフレットでも大学で行う実習がある程度分かるところもあります。
病院実習
大学病院の全ての科をまわる実習です。
「医学部の授業」というとこれを真っ先に思い浮かべる学生もいるでしょう。
5年生から始まる大学もあれば、4年生からはじめる大学もあります。
また、地域医療実習と一体化している大学もあります。
これは、大学の特色でもあるので、パンフレットやホームページに記載されているところもあるでしょう。
なお、前述したように病院実習を受けるには、専門の試験を突破しなければなりません。
病院実習を行わないと、卒業に必要な単位もとれないので医学生はよく勉強することが大切です。
医学部の勉強内容はついていけるものなのか?
ここでは、医学部の勉強の難易度について解説します。
医学部では、6年間の勉強を経て、医師国家試験を合格することで、医師になることができます。
医学部に合格するのも難易度が高いですが、実際に入学してからの勉強内容はついていけるのでしょうか?
ハードなスケジュールと膨大な暗記
医師になるためには膨大な知識が必要です。
医学の進歩により、医師として働くには覚えておかなければならないことが年々増え続けてもいます。
1限目から6限目までびっしり授業がつまっている日が基本です。
そのため、高校時代と同じく8時~17時まで大学に缶詰ということもあるでしょう。
また、テストも難しく救済措置がないこともあります。
テストに落ちたら問答無用で留年ということもあるでしょう。
医学部も進級が難しいのは、国家試験のためでもあります。
勉強不足の学生が進級しても医師国家試験に合格しないというケースは珍しくありません。
医師国家試験は6年間の総仕上げです。
途中で勉強について行けないと医師国家試験は通りません。
すると、合格率が下がって大学の威信に関わります。
ですから、一定のレベルに達していない学生は容赦なく落とします。
勉強についていけず、留年、さらに退学になる学生もいます。
部活などの課外活動も可能
しかし、医学生は勉強ばかりしているわけではありません。
部活やアルバイトも可能です。
ただし、がっつりと部活動をやる学生は少なく、週に2~3回行うという人がほとんどです。
また、近年は生活費を稼ぐ為に授業が終わったらアルバイトをする学生も増えています。
人の命にかかわる職業だということを忘れずに
医学部の授業が難しく進級の難易度も高いのは、医師が人の命を預かる仕事だからです。
どの職業もそうですが、医師の仕事に失敗は許されません。
ちょっとした判断ミスや勉強不足が人の生死に関わってきます。
ですから、大学も勉強不足の学生を医師にするわけには行かないのです。
そのため、医学部はどこの大学でも進級は厳しめです。
他の学部よりも留年する学生の数はずっと多いでしょう。
そうならないためにも、学生達は必死で勉強します。
つまり、入ったら終わりではありません。
入学してからが本番です。
入試を突破したからといって気を抜かないようにしましょう。
まとめ
今回は、医学部でどのようなことを勉強するかを簡単に紹介しました。
医学部の入試難易度が高いのは、入学してから授業にしっかりとついて行ける学生を選別するためでもあります。
医師を育成するには膨大な費用がかかります。
それで医師になれずに脱落する学生が多ければ、大学としても困ってしまうわけです。
ですから、医学部を目指す学生が膨大な時間を勉強にあてることは、決して入試を突破するだけではありません。
大学に入ってからの勉強についていくための下地づくりでもあるのです。
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