医師になるためには医師国家試験に合格することが必要です。
医師国家試験とはどういった試験なのでしょうか。
そこで今回の記事では、医師を目指す人に向けて医師国家試験について詳しくまとめました。
医師国家試験合格率と難易度
医師になるためには、医師国家試験に合格することが不可欠です。
医師国家試験は毎年高い合格率ですが、いったいどんな試験なのでしょうか。
また、大学ごとの合格率のバラつきも気になるところです。
そこで今回は、医師国家試験と各大学の合格率をランキング形式でまとめました。
医師国家試験とは
医師国家試験とは、医師免許を取得するために行われる国家試験です。
受験資格は、医学部医学科の卒業見込みの6年生と海外の医学部を卒業した人が対象となります。
毎年2月初旬、2日間にかけて試験が実施されています。
試験の内容は、医師の任務を果たすために必要な医学的知識を中心として幅広い分野から出題されます。
過去5年間の医師国家試験合格率推移
下記の表は、過去5年間の医師国家試験の合格率について推移をまとめたものです。
表からわかるように、例年90%程度の高い合格率で推移しています。
実施年度 | 全体合格率 | |
第117回 | 2023年 | 91.6% |
第116回 | 2022年 | 91.7% |
第115回 | 2021年 | 91.4% |
第114回 | 2020年 | 92.1% |
第113回 | 2019年 | 89.0% |
合格率が高くてもけっして難易度が低いわけではない
医師国家試験は毎年、全国平均で9割の人が合格するため、簡単と思われがちですが決してそんなことはありません。
まず、医師国家試験の受験資格は医学部入試という壁を越え、医学部で6年間進級のために戦って卒業試験に合格した人だけです。
さらに、実際の医師国家試験においても厳しい基準をクリアしなくては合格できません。
つまり、医師国家試験はもともと難関試験を突破してきた医学生が、6年という長い年月をかけて医学の知識を積み重ねてこそ合格できる難易度が高い試験なのです。
【2023年】医師国家試験合格率ランキング
医師国家試験の合格率は大学によって大きく異なります。
こちらの項では、第117回医師国家試験の合格率を国公立大学と私立大学に分けてまとめました。
医師国家試験合格率の高い大学から順番にランキング形式で表にしていますので、ぜひ参考にしてください。
◇国公立大学医学部
順位 | 大学名 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(%) |
1 | 横浜市立大 | 97 | 95 | 97.9 |
2 | 東京医科歯科大 | 105 | 101 | 96.2 |
3 | 三重大 | 132 | 127 | 96.2 |
4 | 香川大 | 122 | 117 | 95.9 |
5 | 筑波大 | 136 | 130 | 95.6 |
6 | 滋賀医科大 | 114 | 109 | 95.6 |
7 | 琉球大 | 136 | 130 | 95.6 |
8 | 福島県立医科大 | 132 | 126 | 95.5 |
9 | 秋田大 | 131 | 125 | 95.4 |
10 | 福井大 | 106 | 101 | 95.3 |
11 | 名古屋市立大 | 85 | 81 | 95.3 |
12 | 徳島大 | 125 | 119 | 95.2 |
13 | 富山大 | 123 | 117 | 95.1 |
14 | 浜松医科大 | 121 | 115 | 95.0 |
15 | 愛媛大 | 121 | 115 | 95.0 |
16 | 大阪公立大 | 101 | 96 | 95.0 |
17 | 佐賀大 | 116 | 110 | 94.8 |
18 | 和歌山県立医科大 | 110 | 104 | 94.5 |
19 | 新潟大 | 137 | 129 | 94.2 |
20 | 信州大 | 142 | 133 | 93.7 |
21 | 千葉大 | 125 | 117 | 93.6 |
22 | 高知大 | 138 | 129 | 93.5 |
23 | 鹿児島大 | 122 | 114 | 93.4 |
24 | 札幌医科大 | 120 | 112 | 93.3 |
25 | 京都府立医科大 | 118 | 110 | 93.2 |
26 | 岐阜大 | 112 | 104 | 92.9 |
27 | 東北大 | 135 | 125 | 92.6 |
28 | 群馬大 | 135 | 125 | 92.6 |
29 | 名古屋大 | 120 | 111 | 92.5 |
30 | 九州大 | 120 | 111 | 92.5 |
31 | 宮崎大 | 104 | 96 | 92.3 |
32 | 北海道大 | 128 | 118 | 92.2 |
33 | 防衛医科大学校 (*) | 76 | 70 | 92.1 |
34 | 鳥取大 | 114 | 105 | 92.1 |
35 | 神戸大 | 113 | 104 | 92.0 |
36 | 山口大 | 138 | 127 | 92.0 |
37 | 長崎大 | 135 | 124 | 91.9 |
38 | 奈良県立医科大 | 110 | 101 | 91.8 |
39 | 山梨大 | 137 | 125 | 91.2 |
40 | 岡山大 | 137 | 125 | 91.2 |
41 | 東京大 | 130 | 118 | 90.8 |
42 | 山形大 | 133 | 120 | 90.2 |
43 | 大分大 | 121 | 108 | 89.3 |
44 | 熊本大 | 125 | 111 | 88.8 |
45 | 島根大 | 139 | 123 | 88.5 |
46 | 弘前大 | 151 | 133 | 88.1 |
47 | 金沢大 | 135 | 119 | 88.1 |
48 | 京都大 | 135 | 119 | 88.1 |
49 | 旭川医科大 | 134 | 117 | 87.3 |
50 | 広島大 | 126 | 109 | 86.5 |
(*)防衛医科大学校は文部科学省所管外の大学校
私立大学医学部
順位 | 大学名 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(%) |
1 | 順天堂大 | 141 | 141 | 100 |
2 | 自治医科大 | 122 | 121 | 99.2 |
3 | 国際医療福祉大 | 125 | 124 | 99.2 |
4 | 東北医科薬科大 | 95 | 94 | 98.9 |
5 | 産業医科大 | 102 | 100 | 98.0 |
6 | 兵庫医科大 | 115 | 112 | 97.4 |
7 | 日本医科大 | 121 | 117 | 96.7 |
8 | 愛知医科大 | 123 | 119 | 96.7 |
9 | 慶應義塾大 | 117 | 113 | 96.6 |
10 | 藤田医科大 | 118 | 114 | 96.6 |
11 | 東京慈恵会医科大 | 112 | 108 | 96.4 |
12 | 東京医科大 | 123 | 118 | 95.9 |
13 | 昭和大 | 125 | 119 | 95.2 |
14 | 北里大 | 120 | 114 | 95.0 |
15 | 近畿大 | 115 | 108 | 93.9 |
16 | 杏林大 | 120 | 112 | 93.3 |
17 | 獨協医科大 | 115 | 107 | 93.0 |
18 | 大阪医科薬科大 | 114 | 106 | 93.0 |
19 | 久留米大 | 130 | 120 | 92.3 |
20 | 埼玉医科大 | 129 | 118 | 91.5 |
21 | 関西医科大 | 122 | 111 | 91.0 |
22 | 川崎医科大 | 155 | 139 | 89.7 |
23 | 聖マリアンナ医科大 | 128 | 114 | 89.1 |
24 | 福岡大 | 118 | 105 | 89.0 |
25 | 金沢医科大 | 113 | 100 | 88.5 |
26 | 東邦大 | 125 | 108 | 86.4 |
27 | 岩手医科大 | 135 | 116 | 85.9 |
28 | 東京女子医科大 | 125 | 106 | 84.8 |
29 | 帝京大 | 140 | 116 | 82.9 |
30 | 日本大 | 136 | 112 | 82.4 |
31 | 東海大 | 130 | 103 | 79.2 |
国公立大学医学部では、多くの大学で合格率9割を超えており、下位の大学であってもほぼ9割に近い値となっていてバラつきは小さいといえます。
私立大学医学部では、受験者全員合格という大学から下位の大学では合格率8割程度とバラつきが多いといえるでしょう。
また、国公立大学医学部、私立大学医学部ともに入試の偏差値と医師国家試験の合格率は相関しないことがわかります。
入試の偏差値と医師国家試験合格率はなぜ違うの?
ランキングからもわかるように、入試の偏差値と医師国家試験の合格率は相関しません。
なぜ入試の偏差値と医師国家試験の合格率は違うのでしょうか。
この項では、その理由について解説していきましょう。
必ずしも旧帝大の国家試験合格率がトップではない
旧帝大のような超難関国公立医学部だからといって、医師国家試験合格率が高いわけではありません。
理由として考えられるのは、旧帝大などの国公立大学医学部は基礎研究に力を入れており、卒業生が全員臨床医を目指すわけではないためです。
実際に、第117回の国家試験合格率ランキングでも最高峰の偏差値を誇る東京大学と京都大学はそれぞれ41位、48位となっています。
偏差値が高い大学に入学したからといって、必ずしも医師国家試験に合格しやすいとはいえないのです。
医学部入試と国家試験では試験内容が違う
偏差値と医師国家試験合格率が相関しない理由として、入試に必要な学力と医師国家試験で求められる学力が異なることです。
医学部入試は一般的には5教科7科目の点数を競うもので、バランス良く総合得点を獲得する学力がもとめられます。
一方で、医師国家試験は医学の幅広い知識と暗記力が問われます。
そのため、入試で得点がとれた人であっても暗記が苦手で国試対策が不十分な場合には、医師国家試験で合格できない可能性があります。
医師国家試験合格は本人の努力による
医師国家試験は、医学部入学後も勉強をし続けられるかどうかが合否を大きく左右します。
医学部に入学した後はみな同じスタートラインから、解剖学や生理学など医学の基礎から学んでいきます。
しかし、中には受験で燃え尽きてしまう学生や進級できない学生が一定数います。
偏差値が高い大学であってもそういった学生がいれば、医師国家試験の合格率を下げる要因になります。
医師国家試験合格のためには、入学後も学び続ける本人の努力やモチベーションが求められるのです。
大学によって医師国家試験対策の方法が違う
大学によって医師国家試験対策の方法は大きく異なります。
医師国家試験合格率の高い大学の中には、通常の授業や実習とは別に専門的な国家試験対策を行って力を入れている大学もあります。
とくに私立大学医学部の方が次年度の入試志願者数に直結するという理由から、国公立大学医学部より国家試験対策が充実しています。
つまり、偏差値が低い大学であっても国家試験対策が充実していれば、合格しやすい学習環境の中で勉強できると考えることができるでしょう。
本気で医学部合格を目指すなら京都医塾
医師国家試験は毎年、全国平均で9割を超える合格率となっています。
合格率が9割を超えているからといっても、けっして簡単な試験ではありません。
医師国家試験の受験資格を得るためにはいくつもの関門があります。
はじめの関門としては医学部に入学することですが、医学部入試突破こそ非常に難しく1人で太刀打ちできることではありません。
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まとめ
全国的には医師国家試験の合格率は高く9割を超えます。
一方で、大学ごとの医師国家試験の合格率をみるとバラつきがあります。
医学部入試の偏差値が高い大学だからといって、合格率が高いわけでなないのです。
合格率が高い大学の中には、国試対策に力を入れている大学が多くあります。
医師になることを志す受験生にとっては、偏差値ではなく合格率も志望校選びの参考になるでしょう。
志望校選びが出来たとしても、合格に必要な学力がなければ合格できません。
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