日本大学医学部は、私立大学の医学部でもかなり上位に位置しています。
ではなぜそこまでレベルの高い受験生が日本大学を目指すのか、また教育の特徴や入試対策について整理していきましょう。
目次
日本大学医学部の基本情報
入学定員
日本大学医学部の入学定員はほぼ全てが一般入試によって占められており、定員135名のうち一般N方式第1期が90名、一般N方式第Ⅱ期が15名となっています。
また、特別選抜募集人員が全体で30名が確保されています。
学費
学費については、初年度が入学金や授業料などを合わせて6,420,000円、2年次以降5年次までは年額5,390,000円、6年次が5,400,000のため6年間で納入する金額は合計33,380,000円となります。
これは全国の私立大学医学部の中では平均的な学費の高さといえます。
ちなみに、私立大学医学部のなかで最も学費が安いのは国際医療福祉大学で約18,500,000円、最も高額なのは川崎医科大学で、その学費は47,000,000円以上です。
私立大学医学部の学費は大学によってかなり違うことが分かるでしょう。
なお、日本大学医学部には独自の奨学金制度も用意されていますので、費用が心配な方はそちらのチェックもしてみてください。
入試科目
日本大学医学部では、2022年度から入試形式が大きく変更されることになりました。
一般入試において、医学部の学部個別試験(A個別方式)が廃止され、N全学統一方式の選抜がⅠ期とⅡ期の2つの日程で実施されます。
N全学統一方式とは、同一試験日、同一問題で複数の学部・学科を併願することができる試験です。
入試形式の変更に伴い、入試科目も変更されているため確認しておきましょう。
まず、一次試験では数学、外国語、理科2科目の試験が実施されます。
二次試験では面接に加え、記述式の数学と、マークシート形式の英語の試験が実施され、それぞれ60点の配点がつきます。
なお、2022年度入試からは、志願者の主体性と協調性を評価するための設問が、出願時に課されることになりました。
そして、ここで言うところの主体性とは、
「高等学校入学に相当する年齢からこれまでの間に「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を持って活動・経験したことを通して自分自身がどのように成長したか。」(日本大学医学部HP:より引用)
ということを意味しています。
現在の医療界では、医師や看護師、薬剤師など様々な職種が連携して患者の治療にあたる「チーム医療」が重視されていることから、主体性を持ち他者とかかわりながら協働できるスキルが大きく評価される傾向にあります。
そのため、医学部のカリキュラムにはチーム医療を学ぶためのカリキュラムが必ずといって言いほど組み込まれていますし、まして受検時の評価対象に加えられてもなんら不思議ではありません。
また、100文字以上、500文字以内にまとめるという制限がありますので、簡潔に伝えるための文章力も評価されるでしょう。
出願の際は何度も見直したり、学校の先生に添削してもらうなどして、できるだけ完成度を高めてから提出してください。
ちなみに、このとき作成した文書は、面接試験の参考資料としても使われます。
文面では伝えきれなかった思いも含めて、ご自身の気持ちをきちんぶつけましょう。
補足となりますが、これまでA個別方式で実施されていた小論文や適性検査は実施されないようです。
日本大学医学部の入試レベル
偏差値
日本大学医学部の偏差値は67.5です。
同じ偏差値帯には、自治医科大学・昭和大学・東京医科大学・大阪医科大学・東北医科薬科大学などが並びます。
このあたりから、一般的に入試難易度が高いといわれる医学部の中でもかなり上位になってきます。
なお少し上の偏差値70.0には日本医科大学(日本大学と名称が似ているため注意)・順天堂大学・東京慈恵会医科大学が位置し、またワンランク下の偏差値65.0を見てみると杏林大学・東海大学が知られています。
倍率
今度は入試倍率をチェックしましょう。
日本大学医学部の入試方法において、A方式が廃止されたことは上述のとおりです。
代わりに採用されたN方式第1期ですが、2022年度のデータを見るに前年度の倍率とは、そこまで大きな違いが見られません。
また、同じ偏差値、かつ1期と2期の試験機会を設けている昭和大学の10.7倍と比較しても、同程度と言ってよいでしょう。
ただし、第2期試験ともなると話しは180度変わります。
たった15人の狭き門に1,000人以上の受験生が殺到するため、激しい争いは避けられません。
日本大学医学部を目指すに当たっては、「2度目のチャンスもあるから大丈夫」といった楽観的な感情は捨て去り、全身全霊の力を投入して1期目の試験に臨みましょう。
▼日本大学・医学部医学科の年度別入試データ
・2020年度
入試日程 | 倍率 | 募集人数 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 |
---|---|---|---|---|---|
A方式 | 19.7 | 97 | 3,226 | 2,564 | 164 |
N方式1期 | 26.8 | 10 | 455 | 340 | 17 |
・2021年度
入試日程 | 倍率 | 募集人数 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 |
A個別方式 | 10.4 | 97 | 2,737 | 2,502 | 263 |
N方式1期 | 26.2 | 10 | 602 | 516 | 23 |
・2022年度
入試日程 | 倍率 | 募集人数 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 |
N全学第1期 | 9.1 | 95 | 2,054 | 1,772 | 226 |
N全学第2期 | 49.4 | 15 | 1,137 | 1,007 | 23 |
日本大学医学部の特徴
日本大学医学部の厳しい入試をくぐり抜けた先には、どのようなキャンパスライフが待っているのでしょうか。
みなさんが医師への道を叶えるための環境について、その特色を整理しておきましょう。
質の高い医学英語教育
現代では医療に限らず、国際共通語として英語教育の重要性がますます高まっています。
医師になっても英語の能力は不可欠です。
日本大学医学部ではとりわけ医学英語を重視しているため、英文で書かれた医学文献を読んだり、英語で診察をしたりできるレベルになるための一貫した医学英語教育を受けることができます。
医師として国際的に活躍したい方には絶好の環境です。
伝統に裏打ちされたキャリアプラン
日本大学医学部は1925年に開設され、これまでに多数の医師や医学者を世に送り出してきました。
卒業生には、海外留学をした人や地域医療の発展に尽力している人など、さまざまな道を歩んでいる人がいることでしょう。
つまり自分の進路を考える際に、参考となる先人がたくさんいるのが日本大学の魅力なのです。
また私立に多い医歯薬系のみの大学と違い、日本大学は総合大学のため、他分野を学ぶ人と関わることができるのも魅力の一つでしょう。
日本大学ではこれらのメリットを存分に活用して医師への道を目指すことができます。
日本大学医学部の受験対策
入試突破のためには、日本大学医学部の出題傾向を的確に把握し、問題形式に応じて必要な力を効率よく磨き上げていく必要があります。
ここでは、科目ごとの傾向と対策を確認しておきましょう。
英語
英語の試験時間は60分で、大問数は4題です。
特徴的なのは、文法知識が直接問われる設問が一切なく全て長文読解で構成されている点です。
ここで受験生のみなさんには改めて努力の方向性がいかに重要かを認識してほしいと思います。
たとえば日本大学を受験するのに、入試に一切登場しない文法問題を一生懸命解いても得点力に直結するとは考えにくいですよね。
この章の最初でも触れましたが、そのようなパターンに陥ってしまうと貴重な時間を浪費することにもなりかねません。
志望校の入試でどのような問題が出るのか、何を問われるのかを知ることが、受験勉強の第一歩です。
また、日本大学医学部の英語は設問・選択肢が全て英語で書かれているため注意が必要です。
設問は長文の内容に関する真偽を問うものが多く、下線部の意味・内容を選ぶ問題や空所に当てはまる語句を選ぶ問題も出題されます。
なお一部の英文が抜け落ちた箇所に適切な文を当てはめる問題が出題されたこともありますが、出題頻度は高くありません。
また設問はひとつひとつの段落ごとに作られているため、時間配分に気をつければ取り組みやすい問題形式であるといえます。
数学
数学は過去数年の傾向をみると5つの大問から構成されています。
数Ⅲの積分は常に出題されており、続いて数Ⅱの指数対数や数Bの数列もよく出題されます。
第1問と第2問では教科書レベル~中堅私大レベルの比較的考えやすい問題が並びますが、第3問以降は後半の設問がやや難しめになっています。
とはいえまずは入試標準レベルの問題を確実に解けるようにすることが先決で、ここを仕上げれば合格点をとることは難しくないでしょう。
さらに高得点を狙うには、上位国公立大学の二次試験を使って応用問題に取り組むのがおすすめです。
日本大学医学部では微分積分や図形などを組み合わせた発展的な問題がみられますが、こうした複数の分野の融合問題は国公立大学の二次試験でよく出題されるのです。
過去問だけでなく、様々な問題に触れていくことで、難問への対応力も身についてくるはずです。
物理
大問は5題で、すべてマーク式(択一式)です。
全5分野(力学・波動・電磁気・熱力学・原子物理)からそれぞれ1題ずつ出題されます。
難易度は基本的で、煩雑な計算もほとんどありません。
入試偏差値を考えて、満点を目指しましょう。
化学
化学は計算問題の多さが目立ちます。
また問題文が長く読解力が必要とされるため、素早く正確に読み取る訓練をしておきましょう。
問題レベルは標準的で、基本的な考え方をきちんと使いこなせれば合格点は十分狙えるでしょう。
生物
生物は基本的な問題を中心に出題されます。
教科書内容をきちんと頭に入れておけば対応できる問題がほとんどです。
とはいえ、出題分野が多岐に渡るため、全ての分野において満遍なく知識を蓄えておく必要があります。
教科書内容中心といっても読んだり聞いたりといった受け身の学習では入試で知識をアウトプットする力はつかないので、必ず問題を解いて確認することを習慣にしましょう。
また、近年は実験考察問題が増加傾向にあります。
受験生にとっては初見となる問題が多いと思われますが、既知の知識と結び付けて理解する能力が問われていますので、関連する分野の知識を素早く引き出せるようにしておきましょう。
まとめ
この記事では日本大学医学部について、入試の特色や難易度、教育プログラムおよび科目ごとの入試対策を解説してきました。
日本大学は国際的に活躍できる人材の育成を目指し、6年間高いレベルの医学英語の教育を提供しています。
また100年近く歴史のある伝統大学で、数多くの優秀な人材を輩出している総合大学です。
このようにメリットの多い日本大学医学部は入試の難度も当然高く、全国の私大医学部でも上位に入ります。
入試は標準的な知識をどこまで使いこなせているかに重点が置かれています。
高校範囲を逸脱した難問こそ出題されないものの、要点をおさえて十分に演習を積んでおかないといけません。
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