今回の記事では、帝京大学医学部の受験を考えている人に向けて、同大学の特徴や試験の出題傾向などについて解説します。
受験生は勉強の息抜きやモチベーションアップに、保護者の方はお子様の進路の参考にぜひご活用ください。
目次
帝京大学医学部の基本情報
まずは帝京大学医学部について基本的な情報を押さえておきましょう。
入学定員
帝京大学医学部の入学定員は、通常の募集枠110名と6名臨時定員を合わせて合計116名を予定しています。
ここで、「予定」という表現を用いているのは、同大学では現在、文部科学省に臨時定員の増員を申請中にあり、2022年11月の時点では未だ解答を得られていないからです。
増員が認められた際は、同大学部医学部のホームページにて詳細が公表されますので、受験希望者の方は小まめにチェックしておいてください。
また、臨時定員以外の募集人の内訳ですが、一般選抜が87名、学校推薦型選抜が15名、共通テスト利用が8名となっています。
なお地域特別枠は福島県や静岡県といった東日本の地域に設けられており、西日本の受験生は一般入試・推薦入試・共通テスト利用入試で合格を目指すことになります。
入試要項
続いて、入試要項についても見ていきましょう。
2023年度における一般選抜入試は、一次試験が同年1月26日から28日にかけて、二次試験が2月6日、もしくは7日に、それぞれ実施予定です。
また、共通テスト利用試験の一次試験は同テストの実施日が該当し、二次試験は、同年2月17日に実施される見込みです。
そして、学校推薦型選抜の選考は、2022年11月19日に行われています。
なお、学校推薦型選抜では、英語外部検定利用入試を利用可能です。
帝京大学医学部が指定している英語資格、並びに検定試験の基準スコアを満たしている人は申請できますので、活用を検討してみるのもよいでしょう。
ちなみに、英語外部検定利用入試については、当塾のブログでも詳細に解説している記事を掲載しています。
制度の利用を考えている方は、一度ご覧になって参考にしてみてください。
学費
帝京大学医学部で学ぶ際ににかかる学費ですが、まず1年次は入学金・授業料など合わせて9,362,000円となっています。
さらに、2年次と3年次が6,002,000円、加えて4年次以降は、5,716,000円の費用が発生することから、6年間で納める金額は、38,514,000円となります。
同じ東京都の聖マリアンナ医科大学は34,730,000円、日本大学は33,100,000円など、多くの私立医学部の学費は30,000,000円台前半に抑えられるため帝京大学は比較的割高であるといえます。
しかし、この後でも触れますが、帝京大学医学部にはその学費に見合うだけの充実した設備、学習環境があります。
志望校を選ぶ際は、学費の高さだけにとらわれず色々な面から吟味することも大切です。
帝京大学医学部の難易度
次に帝京大学の入試難易度を、偏差値および倍率の観点からチェックしましょう。
偏差値
帝京大学医学部の偏差値は65.0です。
同じ偏差値帯には、杏林大学・東海大学・東京女子医科大学、岩手医科大学、福岡大学などが並びます。
少し上の偏差値67.5では自治医科大学・昭和大学・東京医科大学が位置し、今度はワンランク下の偏差値62.5を見てみると獨協医科大学・埼玉医科大学があります。
偏差値的に、帝京大学は全国の私立医学部において標準的あるいはやや狙いやすい難易度であるといえます。
倍率
今度は入試倍率をチェックしましょう。
過去3年間の入試データは下の表の通りです。
帝京大学医学部の入試倍率は、いずれの年度を参照しても30倍前後から50倍弱という高倍率を記録しており、同一の偏差値のところと比べても突出した数値となっています。
たとえば、2022年度の試験を例にとり比較すると、一般選抜と共通テスト前期の両方を設けている東海大学では、前者が約23倍、後者が約15倍と三分の一から半分程度の倍率におさまっています。
さらに言うと、愛知医科大学では一般選抜が約6倍、共通テスト前期においては約10倍で、倍率の違いが一目瞭然です。
言うまでもありませんが、倍率の高さはライバルの多さと難易度の高さに直結します。
帝京大学医学部を志している人は、基本的な学習はもちろん、出題傾向に合致した学習もするなど、入念な対策をしておきましょう。
▼帝京大学・医学部医学科の年度別入試データ
・2020年度
入試日程 | 倍率 | 募集人数 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 |
一般選抜 | 46.8 | 91 | 8,229 | 7,768 | 176 |
特別地域枠 | 26.5 | 7 | 212 | 203 | 8 |
共通テ前期 | 86.8 | 10 | 868 | 852 | 10 |
・2021年度
入試日程 | 倍率 | 募集人数 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 |
一般選抜 | 38.6 | 89 | 6,640 | 6,236 | 172 |
特別地域枠 | 31.5 | 7 | 252 | 234 | 8 |
共通テ前期 | 49.8 | 10 | 647 | 636 | 13 |
・2022年度
入試日程 | 倍率 | 募集人数 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 |
一般選抜 | 37.4 | 89 | 6,390 | 6,029 | 171 |
特別地域枠 | 32.4 | 7 | 259 | 251 | 8 |
共通テ前期 | 44.7 | 10 | 581 | 569 | 13 |
帝京大学医学部の特徴
ここでは帝京大学の特徴を押さえておきましょう。
救急医療が充実した大学病院
帝京大学医学部の板橋キャンパスには最新の設備を備えた医学部附属病院が隣接しています。
医学部附属病院は、特定機能病院として救急・急性期医療を中心とした医療を行なっており、救急救命センターや総合周産期母子医療センター、循環器センターといった救急医療体制が備わっています。
医療の現場では人間の生命を救うため、一刻を争う処置が行われています。
帝京大学医学部では、そうした救急医療のリアルを体験することができます。
アウトカム基盤型教育とマイルストーン・ロードマップ
帝京大学のカリキュラムには、アウトカム基盤型教育とマイルストーン・ロードマップという2つの大きな特徴があります。
アウトカム基盤型教育では、学修成果(アウトカム)と能力(コンピテンシー)についてそれぞれ到達度目標を立て、これを達成することで医師国家試験合格を目指すという考え方です。
一方、マイルストーン・ロードマップは上記の学修成果を達成するため、いつまでにどのレベルに到達していればよいかが一目でわかるように作成されたロードマップです。
医学部に入学すれば6年間かけて医師国家試験を目指すことになるため、中間目標がないと今やるべきことがわからなくなり、効率の悪い努力に陥ってしまいがちです。
帝京大学のマイルストーン・ロードマップは、長年蓄積されてきた国家試験合格ノウハウを活かし、みなさんが目標を見失わずに正しい方向に向けて取り組むことができるよう道を照らしてくれるでしょう。
充実した学習環境
さらに帝京大学には、24時まで空いている図書館、講義視聴システムなど、高額な学費に見合う学習環境が用意されています。
充実した施設を使いこなし、医師として必要なスキルを十分に磨いていきましょう。
大学受験対策
それでは実際に帝京大学医学部を受験する際、どのような対策を講じて入学試験に臨めばよいのでしょうか。
帝京大学の一般入試では、必須科目である英語に加えて、数学・理科(生物・化学・物理)・国語の5科目から任意の2科目を選択して受験します。
国語を選択できることから、理数系の科目が苦手な受験生にも挑戦しやすい医学部と言えます。
それでは、科目ごとに出題傾向および対策を見ていきましょう。
英語
帝京大学の英語は60分で、他大学に比べるとやや短い印象を受けます。
文法問題はあまり出題されず、長文読解を中心とした構成になっています。
とはいえ、語学の基礎となる文法・単語は英語の入試問題を解くための大前提となるため、満遍なく知識をつけて長文を読みこなせるようにしておく必要があります。
大問数は4つです。
まず第1問は和訳ありの読解総合問題であり、記述問題を出題する私立大学は限られてくるため、帝京大学を目指すのであればきちんと意味の通じる日本語に訳せるよう十分に練習しておきましょう。
次に第2問は短めの文章を読んで内容の真偽を答える問題です。
そして第3問は内容合致のみの長文読解。
最後の第4問が文法問題で、語句整序が出題されます。
やや難しめの問題も出題されているため、過去問演習の段階からしっかりと本番を想定して、解ける問題から確実に取り組むよう習慣化しておきましょう。
数学
数学も英語と同様、4つの大問から構成されます。
医学部としては珍しく、数学Ⅲの分野からは過去何年にもわたって出題が見られません。
数学2の微分積分が毎年出題されており、続いて個数の処理と確率・数列・三角関数・指数対数も頻出です。
出題範囲が数学ⅠAⅡBに限られている分、解法の丸暗記ばかりしていると対応できないような問題が出題されています。
とはいえ、無理な難問が出るわけではありません。
十分な問題演習を通じて根本的な考え方をしっかりと理解し、基本事項を使いこなせれば合格点を取ることは十分可能となるでしょう。
物理
大問は3題で、すべて記述式です。
難易度は標準~やや難で、思考力を問う問題が増えてきています。
また、ヒトを医学物理的な視点からモデル化した問題も好まれます。近年、明確な難化傾向にある大学の一つです。
化学
化学の難易度は近年上がってきています。
単なる基本的な知識で解ける問題だけではなく、問題文の正確な読解が必要とされる設問が必ず出題されています。
入試の基本~標準レベルの問題演習を十分に行い、その上で見慣れない設定の問題を時間内に理解して解答する練習も積んでおきたいところです。
生物
大問は3~4題で、記述式です。
選択式の問題が多く出題されますが、計算問題や短文の論述問題の出題も見られます。
出題分野が多岐に渡り、それぞれの分野で詳細な知識を問われることが多いため、満遍なく深く知識を身につけておく必要があります。
該当するものを全て選ぶという形式の問題が多く出題されるため、それぞれの現象やその理由を正確に理解していないと高得点を取るのは非常に困難です。
実験考察問題も出題されるため、図説を活用して意味をしっかりと理解しておきましょう。
国語
帝京大学医学部では、医学部にしては珍しく、選択科目として国語での受験が可能です。
2021年度入試からは、試験範囲に古文・漢文が含まれず、現代文のみの出題となっています。
選択問題が多く、標準的な難易度といえるでしょう。
ただし、他の科目と比較すると問題数が少ないため、一つの間違いが点数にひびくこともあります。
漢字の読み書きなど、細かいところで点を落とさないよう対策しておく必要があります。
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医学部を本気で目指す受験生が勉強だけに集中できるよう、指導および環境作りに日々尽力しています。
まとめ
ここまで帝京大学医学部に関して、入試の難易度・教育カリキュラムの特色および科目ごとの入試傾向・学習対策に触れてきました。
京都医塾は毎年多数の受験生を帝京大学医学部へと送り出しています。
長年蓄積したノウハウを、ぜひみなさんの合格に役立ててほしいと思います。