受験勉強だけではなかなか気分が乗らない時、音楽を聞いたり動画を見たりすることで気分転換を図る人も多いでしょう。
自習室を覗くと、音楽を聞きながらや動画を見ながら並行して勉強を進める受験生の姿をよく見かけます。
一方で、「ながら勉強はよくない」といった指摘を受けたことのある人も少なくないでしょう。
「ながら勉強」は本当にデメリットしかない行動なのでしょうか?
今回の記事では、ながら勉強がなぜデメリットの多い勉強として語られるのかの分析から、メリットが期待できる「ながら勉強」まで詳細に解説します。
「ながら勉強がなかなかやめられない…」という方に向けての対処法もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
「ながら勉強」とは?
ながら勉強とは、勉強をしながら同時並行で他の行動をすることを指します。
例えば、音楽を聴いたり動画を見たり、おやつを食べたりしながら行う勉強を指します。
勉強だけに集中することが理想であることはもちろんですが、リラックス効果や集中効果を得られると感じる受験生も多いようです。
一方で「ながら勉強」はしばしば、勉強の効率低下や集中力の欠落といった悪影響が懸念されています。
実際に、受験生から「音楽を聴きながらでないと集中できなくなってしまった」「無音の環境だとかえって気が散ってしまう」といった、ながら勉強によって勉強に弊害が出てしまったという相談を受けることがあります。
では、ながら勉強は本当に悪影響なのでしょうか?
それとも好影響をもたらす場合もあるのでしょうか?
以下では、フラットな視点から勉強のもたらす影響を解説します。
「ながら勉強」はIQを低下させる?
ながら勉強が悪影響を与えると考える根底には「勉強以外のことを同時にしていては効率が下がるのではないか?」という仮説的な疑問があります。
すなわち、1つの作業に集中する“シングルタスク”に対して、ながら勉強のような複数の作業の同時進行である“マルチタスク”は非効率的なのではないか、という疑問です。
この疑問の答えとして、スタンフォード大の研究でシングルタスクとマルチタスクのどちらがより生産性が高いのかについての以下の記述をご紹介します。
筆者訳)
「スタンフォード大学で行われた研究によると、マルチタスクはシングルタスクよりも生産性が低いことがわかった。研究者たちは、常に複数の電子情報にさらされている人は、シングルタスクをこなす人と比べて注意力が散漫になり、情報を思い出すことができず、ある仕事から別の仕事への切り替えがうまくできないことも発見した(中略)マルチタスクはスピードが遅くなるだけでなく、IQをも低下させるおそれがあるという研究結果もある。」
例えば、動画を見ながら勉強することは「動画を見る」というタスクと「勉強する」というタスクの2つを同時処理することとなり、主目的である勉強の分のリソースを動画視聴が奪ってしまっています。
そのため、勉強というシングルタスクだけに集中している状態と比較すると生産性が低いことが考えられます。
また、記事の中でマルチタスクはミスの誘発を招く傾向にあることも言及されているため、この内容から判断すると「ながら勉強は悪影響を及ぼす」という考えは正しいように思えます。
「ながら勉強」にはデメリットしかない?
では、ながら勉強には本当にデメリットしかないのでしょうか。
先ほどご紹介したスタンフォード大学の研究を踏まえると、「作業」として五感や思考のリソースを割く必要のある行動を勉強と一緒にやることは生産性の低下、すなわち学習効率の低下につながると考えてよいでしょう。
一方で、五感や思考のリソースを割かない/必要なリソースが少ないタスクであれば、リラックス効果や集中力向上といったメリットが期待できます。
そこで以下では、デメリットをもたらす「ながら勉強」とメリットをもたらす「ながら勉強」について解説します。
視覚・思考が奪われる「ながら勉強」はNG
ながら勉強によってメリットを享受する前提条件として、勉強に集中して取り組むための補助として取り入れられる、という点が挙げられます。
これを返すと、勉強をするにあたって必須となる視覚や思考を必要とするような行動と勉強は両立が不可能であることがわかります。
すなわち、視覚や思考を必要とする行動と並行しての「ながら勉強」はマルチタスク=生産性が低下している、と考えることができます。
具体的に、以下のような行動はながら勉強に不向きと言えます。
動画・映画・テレビを見ながら(視覚)
動画や映画、テレビを見ながらのながら勉強は効率の低下が見込まれるので避けましょう。
基本的に勉強は問題集や過去問といった文字媒体を見ながら思考をします。
すなわち、五感の中でも、視覚がもっとも勉強において活用されると言って差し支えないでしょう。
動画や映画、テレビといった媒体は視覚を用いて楽しむコンテンツのため勉強と並行するには不向きな媒体です。
「映像は見ずに、音声だけを聴いてラジオのように楽しむのであれば問題ないのでは」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これらの媒体は映像を見ていることを前提にして進行するので、「聴いているだけ」のつもりでいても視覚情報が前提となる場面で、ついついそちらに視線を向けてしまいます。
また、“聞いているだけ”でも思った以上に学習効率が下がってしまいます。
次の「ラジオ・配信などを聴きながら」の項で詳細を解説します。
ラジオ・配信などを聴きながら(思考)
映像を見ることを前提としないラジオやインターネットの配信であれば、勉強と並行しても問題ないように感じるかもしれません。
しかし、ラジオや配信のような“言語情報を含んだ音源を聴く”ことは、思っている以上に思考のリソースを割いています。
前項の「動画やテレビ・映画を聴くだけ」も同様に言語情報を含んでいるため勉強と並行しての視聴は集中力を低下させると言えます。
メリットが期待できる「ながら勉強」
ここまでの解説で、視覚を必要とする媒体や言語情報を含む媒体は勉強と並行するには不向きであることがお分かりいただけたかと思います。
一方で、長時間の勉強時には気分転換をしたくなったり、気分を高めたいタイミングに遭遇したりすることがあるかと思います。
つまり、マルチタスクにならない行動で勉強の効果を高めることができるのが理想と言えます。
そこで以下では、ながら勉強の中でもポジティブな効果が期待できるものをご紹介します。
歌詞のない音楽を聞きながら(リラックス効果・集中効果)
動画・ラジオ・テレビなどの「言語情報」を含む媒体は思考のリソースを割くため避けるべき、とお伝えしました。
一方で、音楽にはストレスホルモンの減少効果や幸せな気持ちになるセロトニンという脳内物質を分泌する働きがあります。
そこで、勉強時には“歌詞のない音楽”を聴くことをおすすめします。
ヒーリングミュージックやカフェミュージックなど、比較的落ち着いた音楽かつ歌詞のないものであれば、思考のリソースを割かずにリラックス効果や集中力アップの効果を得られます。
最近では、各音楽配信サイトで「歌詞無しBGM」などのプレイリストやステーションが多く公開されていますので、自分の好みにあったものをいくつかピックアップしておくと良いでしょう。
同じ曲が頻繁にループすると気になってしまうことがありますので、なるべく長時間のBGMやプレイリストを選ぶことをおすすめします。
音楽では気になってしまう…という人は、雨の音や暖炉の音のような自然音のBGMや、図書館などの環境音を録音したBGMなどもおすすめです。
お風呂に入りながら/トイレに入りながら(時間の有効活用)
「ながら勉強」の発想を逆転して、生活の中の時間を勉強に充てるという方法も有効です。
お風呂やトイレの時間など、リラックスタイムに勉強を入れ込むことで時間を有効活用することができます。
リラックスした状態は暗記学習の効率が良いとされています。
そこで、覚えたい事項をまとめたノートをトイレに貼ったり、トイレで閲覧する用の暗記カードを置いたりすることで、効率的な学習が可能です。
お風呂も同様に、防水した単語帳や濡れてもいい単語帳を用意したり、水濡れOKな単語帳などを活用すると良いでしょう。
特にお風呂に関しては、水濡れを前提とした単語帳や暗記カードも販売されているのでチェックしてみてください。
スマートフォンを活用するという方法ももちろん有効ですが、ついついSNSや動画配信サイトを見てしまう…というリスクがありますので、自己管理に自信がない場合は避けたほうが良いでしょう。
「ながら勉強」がやめられない場合の対処法
最後に、「ながら勉強がやめられない」というお悩みへの対処法をご紹介します。
一番手っ取り早い方法は、勉強だけの空間を作り出すことです。
例えば、自宅だとテレビや動画を見てしまう…という人は予備校の自習室を活用しましょう。
テレビや動画を「見ない」のではなく、「存在しない」空間へ自分を置くことで避けるという方法です。
また、ついつい音楽を聞きながら勉強してしまう…という場合は、勉強時間はアプリをアンインストールするかスマートフォンの電源を切ってカバンなどにしまうなど、勉強時間中のMyルールを設けましょう。
アンインストールに限らず、「すぐに再生できない状態にする」ことが重要です。
何かを聴きながらの勉強があまりにも常態化してしまうと、「模試や入試本番のような静かな環境だと集中できない」といった逆転現象を引き起こす可能性があります。
学習効率を高めるための行動が、かえって集中力を奪ってしまっては本末店頭です。
そのため、過去問演習を行う際や入試の直前期はながら勉強は一切取りやめることを推奨します。
入試直前期にもかかわらず「無音だとどうしても集中できない…」という場合には、試験時間の環境音をBGMにした音源をおすすめします。
鉛筆の音や問題用紙をめくる音などが収録されているので、入試本番と同じ音環境で学習が可能です。
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京都医塾は、生徒が集中して勉強に取り組める環境に定評のある予備校です。
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ここからは、京都医塾についてご紹介します。
勉強だけに集中できる「個人ブース」を設置
受験生にとって、勉強だけに集中できる空間は非常に貴重です。
学校や図書館、一般的な予備校の自習スペースは他の人の動きや会話が気になって集中しづらい…というお声をよく耳にします。
京都医塾では、生徒一人ひとりが勉強だけに完全集中できるように「個人ブース」を設置しています。
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自習はもちろん、ブース内で個人授業の受講も可能です。
一日中勉強に集中できる環境は、京都医塾の強みの1つです。
週1回の個別カウンセリングで日ごろの悩みを相談できる
京都医塾では、担任制度を採用しています。
生徒1人に対して2人の担任が付き、週に一度カウンセリングを実施します。
カウンセリングでは、カリキュラムの進捗確認や模試・学内テストの結果の振り返りはもちろん、合格から逆算して長期・中期・短期的な目標を設定します。
そのうえで、日々どのような勉強をするべきかを具体化し、学習目的を明確にしたうえで取り組めるようにサポートしています。
カウンセリングでは、どんな些細なことでも相談可能です。
「自習時間中に集中できない」
「ついスマホをいじってしまう」
など、ちょっとした悩みも遠慮なく伝えていただくことで、状況に合わせたアドバイスをいたします。
レベル別集団授業で苦手科目を徹底攻略
京都医塾では、各教科で到達度に合わせた学習体系を提案しています。
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他の生徒から学習への取り組み方を学んだり、ライバルとして意識することで勉強のモチベーションをアップさせることができたりと、授業に付随したメリットが多いことも特徴です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ながら勉強に限らず、受験勉強では知らず知らずのうちに非効率的なやり方を選択してしまうことがあります。
自分の勉強の進め方が少しでも気になったら、予備校の先生をはじめ専門家に相談し効率的な学習方法へと改善を心がけましょう。
また、本記事では医学部専門予備校「京都医塾」についてもご紹介させていただきました。
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